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木村拓哉に「納得できません」と物申したADが有田哲平と『脱力タイムズ』を作るまで

『全力!脱力タイムズ』制作総監督・名城ラリータさんインタビュー #2

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「木村拓哉という存在の見え方をちゃんと考えられているか」

――名城さんが物申した時の木村さんのリアクションって……。

名城 それが笑ってたんですよ。「でも勝負だからな~」とか言って。全然怒らなかった。それを思い返すと余計に怖くて。しかもその後「ラリータとやりたい」って。

――でもその出来事がきっかけで木村さんとの信頼関係が生まれたんですよね。

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名城 下っ端のくせに物申したのが面白かったんでしょうね。それからは木村さんと、放送作家の鈴木おさむさんの3人で色んなことを話して、煮詰めて、企画を作っていました。

 でも正直に言うと、木村さんとおさむさんがスゴ過ぎて付いていくのがやっとでしたね。

 

――“木村拓哉”という存在は近くで見てきた名城さんにはどう映りました?

名城 生意気なことを言った僕にさえ怒らない木村さんが、“木村拓哉”という存在に対して一番厳しかった。企画を考えているときも、「木村拓哉という存在の見え方をちゃんと考えられているか」「これを見て本当にファンは喜んでくれるのか」はよく言われましたね。

「自分のファンはどう思ってくれるのか」ということは木村さんも含めて、SMAPの5人全員が真剣に常に考えていらっしゃっていたのがすごく印象的です。真顔で「ファンがいるから俺らがいるということを忘れないでほしい」と言われたことも何度かありますし、僕が面白さ優先で企画の種を持っていくとすぐに見破られて「本当に見てくれる人は喜ぶと思うかなぁ?」と突き返される。

面白い番組のディレクターたちはみんな“自分が一番面白がってる”

――「バラエティ番組」一筋の名城さんが思う、“優秀なディレクター”ってなんでしょうか?

名城 現在進行中で模索していますが、タモリさんや木村さん、そして有田(哲平)さんなどこれまで色んな方々と仕事をさせてもらって感じたのは、面白さとタレントの理想を両立させられるのがディレクターの力量だと思います。

 あと、僕には明確に「この人!」というテレビマンの師匠はいませんけど、面白い番組のディレクターたちはみんな“自分が一番面白がってる”んです。それってすごくかっこいい。打ち合わせからゲラゲラ笑って、誰よりも楽しみながら番組作ってるディレクターでいたいですね。

 

撮影=平松市聖/文藝春秋

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なしろ・らりーた/1976年生まれ。日本大学芸術学部卒。2000年フジクリエイティブコーポレーション入社。フジテレビバラエティ第二制作部に配属。『笑っていいとも!』のADを務める。その後『SMAP×SMAP』に関わり、当番組でディレクターデビュー。『全力!脱力タイムズ』を立ち上げ。現在は『冗談騎士』、『有田Pおもてなす』を手がけている。

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