先日、お笑いコンビのアンタッチャブルが10年ぶりにネタを披露。告知が一切なかった突然の出来事に驚いた人も多かったのではないだろうか。その復活劇が誕生したのがフジテレビのバラエティ番組『全力!脱力タイムズ』(毎週金曜・23時~)。
木村拓哉が「ちょ、待てよ」と自身のモノマネを披露し、藤原紀香が突然「友近です」と登場する――。キャスター・アリタ哲平(有田哲平)と解説員、ゲストコメンテーターによる異色のバラエティ番組である。
この“報道番組スタイル”のコント番組『全力!脱力タイムズ』はどうやって作られているのか。番組の製作総監督である、名城ラリータさんにお聞きしました。(全2回の1回目/#2に続く)
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「どうやってこんな番組通したんですか?」とよく聞かれる
――『全力!脱力タイムズ』(以下『脱力タイムズ』)のホームページで紹介文を見ると、「最新の重大脱力ニュースを元に混沌とした社会情勢を鋭く斬るお固いニュース番組」とあります。
名城 もっと一言で表すなら「どうでもいいような仕掛けに気付いてもらう番組」。日本の論点と銘打って、最近の時事ネタを紹介しながら解説員とゲストコメンテーターの皆さんで議論という名のコントをして、「なにこれ?」という違和感を、ツッコミのゲスト芸人さんの反応とともに楽しんでもらう構成ですね。
――他の局を見渡しても類似番組が見当たらない独特な構成ですが、企画が通らないなかで生まれた番組だともお聞きしました。
名城 フジテレビには『めちゃ×2イケてるッ!』(以下『めちゃイケ』)をはじめ、伝説的なコント番組がありますが、たぶん昔も今も視聴率という壁に阻まれて、「コント番組です」と正面から言って企画が通ることはほとんど無いと思います。
色んな人から「どうやってこんな番組通したんですか?」って聞かれるんですけど、コント番組として企画提出していない、が正解です(笑)。最初は、衝撃映像番組のようなジャンルで編成の狩野さんが出してくれました。
解説員の皆さんからは「あれ、こんな番組でした?」
――たしかに初期では、世界のハプニング映像を見て解説員の方々が全く関係のない解説をするという、「違和感」を面白がる番組でした。
名城 まさに『なるほど!ザ・ワールド』みたいな感じ。ハプニング映像は視聴者受けもいいので、そこで一定の視聴率を確保した上でどうにかコント番組にできないかと試行錯誤しながら番組作りをしていたんです。分かりやすくスタジオトークが脱線していって「何の話してるんだよ!」っていう構成でした。
――その「違和感」のなかで、特に気になるのが解説員です。岸博幸さん、吉川美代子さん、出口保行さん、五箇公一さん、齋藤孝さんなど各分野を代表する論客がコント番組に参加しているというのが不思議で。
名城 確かに、番組がどんどん変化していって、コント色が強くなってきた時に解説員の皆さんから「あれ、こんな番組でした?」って聞かれた記憶があります(笑)。でもその頃にはだいぶ収録もご一緒して信用していただいていたので「でもやってみたいです」と、みなさんが積極的に参加してくれたんです。