「すべて『設定』であって、台本があるからこそ」
――(笑)。藤原紀香さんやベッキーさんをはじめ、恥ずかしいことをみなさんやってくれていますよね。
名城 いや、僕も「やってくれるのかなぁ」って最初は半信半疑だったんですよ。でも皆さん飄々とやって下さいますよ。やっぱりあの方たちが俳優だって色眼鏡で見ているのは視聴者や制作陣の僕らなんです。
すべて「設定」であって、台本があるからこそ、演技のプロとして100%全力投球してもらっています。収録にあたっては、全部で20ページぐらいある台本をすべて完璧に覚えてもらうことをお願いしています。みなさん緊張しながらもきっちりやってくださるので、プロフェッショナルってすごいなと毎回痛感しますね。
名城さんが考える“人気バラエティ番組の法則”
――『脱力タイムズ』はテレビ業界が厳しいと言われるなかで、5年目を迎える2019年も最高視聴率を更新しています。ここまで継続した支持を受けているのは?
名城 僕の感覚的な話にはなるんですが、番組として皆さんにある程度受け入れられていくと、「番組に羽が生えて勝手に飛んでいく」みたいな感覚になるんです。AD時代に『SMAP×SMAP』という番組を担当していましたが、同じ感覚ですね。
――「番組に羽が生えて勝手に飛んでいく」?
名城 例えば、放送日の翌朝に電車に乗っていると、隣に座っている女子高生が「昨日見た?」って、僕らが作った番組について話してるんです。そうやって受け入れられた番組は勝手に見てる人が誰かに話すのを繰り返して、どんどん膨らんでいくんですよ。『脱力タイムズ』でも同じ現象が起こっているなら、本当に嬉しいです。
――じゃあこれからも進化していく?
名城 もちろんです。これまでたくさんの伝説的コント番組がありました。『オレたちひょうきん族』『ダウンタウンのごっつええ感じ』『めちゃイケ』『リチャードホール』『はねるのトびら』僭越ながらその先に『脱力タイムズ』が並べたらいいなと思っています。
今日はまだ言えませんけど、今年中にもすごく胸躍る企画を用意しています。来年の1発目は、まさかの元旦朝5時から放送予定です(笑)。『脱力タイムズ』なりの元旦スペシャルにしたいと思っているので、ぜひ見てほしいですね。
撮影=平松市聖/文藝春秋
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名城さんの「今日はまだ言えませんけど、すごく胸躍る企画を用意しています」という一言。後日、11月29日放送の『脱力タイムズ』で、アンタッチャブルの10年ぶりの復活が実現するとは想像もしていなかった。番組表や前週の放送でも全く告知されていない、予想外すぎる展開にSNSやネットニュースは話題騒然に。
これまで番組内コーナー「脱力スーパーLIVE」で、相方・山崎弘也さんと紹介されバービーさんやハリウッドザコシショウさん、コウメ太夫さんなど全くの別人が登場する回があったなかで突然現れた「本物の相方」。柴田さんも、その場に仰向けにひっくり返る驚きぶりでした。
まさに「ツッコむ芸人さんの反応を楽しむ実験性」を大切にしている『脱力タイムズ』ならではの“仕掛け”だった。
#2 木村拓哉に「納得できません」と物申したADが有田哲平と『脱力タイムズ』を作るまで
なしろ・らりーた/1976年生まれ。日本大学芸術学部卒。2000年フジクリエイティブコーポレーション入社。フジテレビバラエティ第二制作部に配属。『笑っていいとも!』のADを務める。その後『SMAP×SMAP』に関わり、当番組でディレクターデビュー。『全力!脱力タイムズ』を立ち上げ。現在は『冗談騎士』、『有田Pおもてなす』を手がけている。