4泊6日の具体的プラン 到着日から
ハワイの食について予習ができたところで、具体的な旅行プランに話を進めよう。オススメしてきたように、羽田を出発し、ワイキキエリアの真ん中辺りにステイすることを前提にしてみる。そして今回のガイドは、レンタカーを利用しない前提ですすめてみる。
ホノルル国際空港に到着後、予約したホテルまでは空港で待機しているタクシーを利用する。移動の疲れも油断もあるので、ここはタクシーに身を任せるとして、いったんホテルに荷物を置いた後の行動である。
滞在中は路線バスを利用
基本の移動は路線バスを推薦したい。路線バスを2回目からのハワイでトライするのは少々ハードルが高いが、クルマを借りずにできるだけ行動範囲を広げるには、ローカルの人たちと同様にバスを使うのが効率的だ。
バスの場合、行先が分からないという大命題より先に、まずクリアしたいのは運賃の支払いである。2017年現在2.5ドル(6歳未満は無料)、これを毎回きっちりと払わなければならず、釣りもでない。クルマを持たないハワイローカルはそのために25セントコインを常に集めているという。
ここは旅行者ゆえの贅沢で、4日乗り放題券(4-Days Pass)を購入しよう。普通にハワイのコンビニABCストアで手に入る。4日乗り放題で35ドルと、都度払えば14回乗らないと元が取れないが、のちのち解説するように、滞在中のすべての移動をバスと決めれば、必ず元が取れる。また路線バスは、ほぼすべてアラモアナセンターを始点・終点にしており、センターの海側乗り場からは西に、山側乗り場からは東に向けてバスが出ている。
この距離なら歩こうかと思う近場でもギンギンに冷房が効いたバス内で過ごせば一時の涼みになるし、もし行先を間違ったと気づいたら、すぐに降りて反対側からまたバスに乗れば、そのうちにアラモアナセンターに行きつく。こうして都度小銭で支払うことから解放されると路線バスほど便利で楽しい旅の乗り物はないのである。
ハワイの路線バス専用アプリを利用する
その名も「DaBus」。またまたDaの登場だ。もちろんすべて英語だが、今いる場所から一番近いバス停を探せるし、そのバス停に何時にどこ行きのバスが来るかも分かる(ただし時刻表レベルで実際の運行とは同期していない)。
英語が分からなくてもある程度までは理解できるように作られていて、なかなか秀逸なアプリである。
DaBus
https://itunes.apple.com/jp/app/dabus-the-oahu-bus-app/id503701268?mt=8
https://play.google.com/store/apps/details?id=gov.honolulu.dabus&hl=ja
到着初日の過ごし方
できるだけ機内で睡眠をとるよう勧めるのは、旅の成功は到着からいかにすぐ動けるかにかかっているため。4泊の滞在なら都合4回しかディナーのチャンスがないのだ。チェックインして、そのまま初日は寝て過ごすなんてもったいなさすぎる。
ワイキキから近郊グルメエリアへの移動手段
4日の乗り放題券だと、4泊の滞在期間中どの日程で使うかもポイント。初日からはもったいない(乗り放題券は、自分でカードに印刷されたカレンダーをこすって日程が決められるようになっている)。
そこで初日はクルマでの移動となるが、海外旅行をするにも、ほぼ全員がスマホを持ちWi-Fiを用意している時代を考えると、クルマ移動もタクシーではなく「Uber」を利用することを強く勧める。
「Uber」は、スマホで近くに待機しているクルマを呼ぶことのできるすぐれたアプリ。利用するのはいわゆる白タクなのだが、ハワイでは非合法ではなく、きちんと契約したドライバーが自家用車を使っての小遣い稼ぎなわけで、旅行者とはwin-winの関係。スマホは自分のいる場所を把握してくれるので、行きたい目的地を入力して申し込めば、すぐさま最寄りにいるクルマが到着し、目的地まで連れて行ってくれる。
行先を告げるなどの英語も不要で、何より、クルマが来る前にスマホ画面に料金が出て一般的なタクシーより安価。さらにチップの必要がない。アメリカでタクシーに乗る際、一番憂鬱なのがチップの計算で、それがいやで乗ることを躊躇することも頻繁にある。特に英語が堪能ではない旅行者は、料金が15ドルなのに20ドルを渡して、Keep changeと言ってしまう傾向にある。「Uber」のクレジットカード払い、チップ不要なことこそ、ぼくは最大の魅力だと思っている。
Uber
https://itunes.apple.com/jp/app/uber/id368677368?mt=8
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ubercab&hl=ja
ズバリ、初日の夜の食事は「鍋」
とはいえ、初日はワイキキ周辺をぶらぶらしていれば、あっという間に夜になる。そして初日の食事だが、ぼくは「鍋」を推薦する。
日本でもそのスタイルが導入されつつあるが、鍋のスープと肉の種類だけを選んで、あとは店内奥に設置された冷蔵庫から好みの具材を持ち寄って鍋に投入するだけ。英語力も必要ではなく食材の量も調節でき、鍋ゆえ移動で疲れた胃にもやさしい。
そして特筆したいのは、「鍋」に限らずだが、ハワイの多くの店ではアルコール類の持ち込みができること。ハワイは特に、リカーライセンスという、飲食店で酒類を販売する権利に厳しく、例えばトイレを男女別に設置しないと認可がおりないとか、いろいろと制約があるので、BYOB“Bring your own bottle”つまり、アルコール類持ち込み可にしている店をぜひとも利用すべきだ。鍋の店にも多いが、エスニックや中国料理店などにもBYOBのところがある。
ということで、初日の鍋店として「Hot Pot Heaven 」はどうだろう。もちろんBYOBである。「Uber」を使ってクルマを呼ぶ練習をしてもいいし、ワイキキの西側からなら徒歩圏のマッカリーショッピングセンターにある。同じセンター内にあるセブンイレブンでアルコール類をしっかり買い込んで突入。ただしセブンイレブンでは、どんなオッサンに対してでもアルコール購入の際にはIDカード(パスポートなど)の提示を求められるのでご注意。
伊藤章良
イベントプロデューサー・食随筆家。食に関するエッセイ、レビューを執筆。新規店・有名シェフではなく継続をテーマにした著書『東京百年レストラン』はシリーズ三冊目を発刊。BSフジ「ニッポン百年食堂」で全国の百年以上続く食堂をレポート。