ハワイ観光の情報源は初心者向けかディープ過ぎるものばかりで、2回目、3回目のリピーター向けのものがほとんどないのが現状……そこで、イベントプロデューサーとして1980年代からハワイ渡航歴50回以上、平均滞在期間2週間の筆者が、ハワイに別荘を持つようなセレブからの提案ではない、あくまで短期旅行者の立場で、より深く充実した「旅と食」をハワイで楽しむコツについて紐解いていく第2回目。
ハワイの料理を分析する
具体的な旅行の説明に入る前に、ハワイで味わえる様々な料理についての概略を持論を交えて展開したい。
ハワイの料理は、ほぼ三世代に分かれている。最初の世代は、ずっと長く土着のポリネシアンが食べてきたもの。
主食であるハワイ産のタロ芋。これをすりおろし少し寝かしたのが「ポイ」。日本人の白御飯のような位置づけだ。「ラウラウ」と呼ばれる肉や魚をタロ芋の葉に巻いて蒸し焼きにする料理はおかずのベース。「カルアポーク」は豚の丸焼きのことだ。調理法は、豚を丸ごとバナナの葉に包んで掘った穴の中で蒸し焼きする。「ルアウ」というパーティの席で食されていたもので、ハワイ各地の大型ホテルでは、ポリネシアンの儀式をとりいれた「ルアウ」を、洗練された現在のカタチでディナーとして提供している。「ルアウ」は特に、アメリカ人に人気が高い。
第二世代、移民たちの料理
日本、韓国、中国、ベトナム、タイ、沖縄などの移民と、アメリカやポリネシアンが融合したハイブリッドな食文化。有名なロコモコや、かき氷のシェイブアイス、マグロを油でピリ辛にマリネしたアヒポキ、様々なバーベキューテイスト、日本の食卓にもあるkatsu、アレンジされたテールスープ等々。
これらがいわゆるローカルフードの類で、当然日本にオリジナルがあるもの(生魚を食べる習慣は日本にしかないので)から、沖縄、中国、韓国、その他のアジア各国のルーツまでを感じる大変に幅広いテイストだ。ワイキキにこういったローカルフードが食べられる店が少ないことも、ワイキキでの食事が寂しい理由のひとつといえよう。
ワイキキを外れると、比較的容易に目に留まる「Zippy’s」は、ハワイ発祥のファミリーレストラン。こちら以外でも前回述べたINNと呼ばれる食堂で様々なローカルフードが味わえる。特に、ハワイの典型的な昼食「プレートランチ」は、チキンカツ、バーベキューポークなどのおかずと、アイスクリームで使われるディッシャーでディップされたご飯が大盛りふた山。そしてキムチというのが典型で、プレートランチの上だけでも異文化の交流が数多く発見できる。
注目の第三世代
ハワイ移民の二世、三世、四世によるイノベイティブな料理。
ハワイで生まれ育ち、アメリカやアジア、ヨーロッパで料理の修業をし、またハワイに戻って次世代の料理を生み出す。25年ほど前に、現地の料理人が集まり、それらに統一した名称を付けようと試みた。最終的に「ハワイリージョナルキュイジーヌ」となった。英語的にはあまり言い得ていないように感じる。でも、パシフィックリムとかユーロアジアンとかいろいろ言われてきたので、名称をハワイらしく統一することには意義があった。
ちなみに当時の三傑は、アランウォンズ、ロイズ、サムチョイズ。
アランウォンズは、今でもハワイナンバーワンの座が揺るがないレストラン。ロイズは日本をはじめ世界中に展開。サムチョイズも、一時は洗面器のような皿で出てくる巨大料理が日本でも話題になったが、カパフル大通り本店は閉店してしまった。