カイルアにも路線バスで出かけてみる
もう日程はあまりないが、ホノルルのダウンタウン、ワイケレとともに、バスで出かけたいのがオアフ島の東側、カイルアという町だ。
ハワイ諸島すべてを巡って気づかされる、オアフ島東側のビーチが最高に美しいという事実。ここに行かない手はないのだ。また、最近とみに日本でも有名になりつつある「ラニカイビーチ」もカイルアビーチの続きにある。
昔のラニカイビーチは、ローカルの小学生が騒ぎ遊んでいるようなとてものどかな田舎だったが、最近は観光客でごった返す日もあるようだ。そんなときには、いや、実は海より山派、ダイヤモンドヘッドでは物足りないという面々に、カイルアビーチ近くにあるゴルフ場横からスタートする、カイヴァリッジトレイル(Kaiwa Ridge Trail 最近では「ラニカイ・ピルボックストレイル」とも言うようだ)に挑戦していただきたい。
頂上まで30分。侮れない急で滑る坂道なのでビーチサンダルでは無理。でも頂上で手に入る絶景は、ただでさえ美しいラニカイビーチを一望できる驚異のパノラマである。
カイルアの見どころはビーチだけではなく、「Target」なるスーパーマーケット。前述した「Wal-Mart」とは違うタイプで、Wal-Martはマストではないけど、Targetは、かわいらしくて棚がきれいで、特にお菓子・ナッツ類の品ぞろえが豊富。スタッフも親切なのでここに長時間いてもまったく飽きないと思う。
レストランも実は優れていて、ホノルルよりもゆったりとした時間の流れが魅力的。オススメは、町の入口付近にある「CACTUS」。ずっと取り上げてきた第四世代として、ハワイの新しい潮流となりつつある移民以後の料理。ここは日本でもあまり見かけないイノベーティブな中南米料理が味わえる。
最後の夜はステーキで
いよいよ短期決戦のハワイ旅行も最後の夜。路線バスとUberを使って軽快に動いてきた日々を振り返りつつも、やっぱりプチ贅沢というかゴージャスなヒトトキをというコンセプトで、ステーキをチョイスしてみよう。
実はTボーンと言われる骨付き肉が日本で解禁になってから、一気にアメリカの高級ステーキハウスが日本に進出した。ワイキキにある「ウルフギャングス」「ルースズクリス」「BLT」の3軒とも、今や日本に店がある。
また、ワイキキで食事をするイヤなことの一つに、店内にいる日本語を話すスタッフが横暴なチップを最初から付けてレシートを持ってくることだ。そんなときは、堂々と突き返してチップは自分で決めるときっぱり言えばいいし、ハワイで暮らす日本人ローカルの友人に聞いてもそのようにしているとのこと。
そこで、ホノルルにあって日本に支店のないアメリカン高級ステーキハウス「モートンズ」はどうだろう。場所はアラモアナセンター内で分かりやすく安全。ワイキキよりは客層も落ち着いて少し高級感もあり高揚した気分になれる。肉のどの部位を選ぶか、焼き加減をどうするかは、あなたのお好みでOK。
ここでは正規のメニューにないポテトチップスが瞠目のおいしさであることと、となりに併設されたこぢんまりしたバーがまた居心地よいので(残念ながら夜景は見えないが)、食事の後に立ち寄るか、以前紹介した「マイタイバー」でもうひと騒ぎするか。いずれにしても貴重な最後の一夜を、最後まで有意義に過ごせるだろう。
帰りの空港まで路線バスで
路線バスの利用は、帰りの空港までのタクシー代も浮かせることができる。長期滞在用の大型スーツケースは乗車を拒否される可能性があるが、機内持ち込みサイズ程度なら大丈夫。
空港行きは間違った路線に乗って時間をロスすることができないので慎重にいきたいところだ。バス停のバスナンバー表示横に飛行機のマークがついているのでわかりやすいし、ドライバーに一言、「Airport?」と尋ねればよし。例によってダウンタウンの隅々まで客を拾うものの、確実に空港まで連れて行ってくれる。
と、短期決戦旅行を短くまとめてみましたが、いかがでしょうか。実はレンタカーを使ったハワイ短期決戦旅行にも、様々なネタを用意しているので、機会があればぜひそちらもご紹介したいと思います。
伊藤章良
イベントプロデューサー・食随筆家。食に関するエッセイ、レビューを執筆。新規店・有名シェフではなく継続をテーマにした著書『東京百年レストラン』はシリーズ三冊目を発刊。BSフジ「ニッポン百年食堂」で全国の百年以上続く食堂をレポート。