ハワイ観光の情報源は初心者向けかディープ過ぎるものばかりで、2回目、3回目のリピーター向けのものがほとんどないのが現状……そこで、イベントプロデューサーとして1980年代からハワイ渡航歴50回以上、平均滞在期間2週間の筆者が、ハワイに別荘を持つようなセレブからの提案ではない、あくまで短期旅行者の立場で、より深く充実した「旅と食」をハワイで楽しむコツについて紐解いていく最終回。前回、前々回から引き続き、4泊6日の標準的なツアーは、どう過ごすのがいいかを示そう。

さらなる遠出を企てる

 続いての遠出は、オアフ島の西「ワイケレ・プレミアムアウトレット」。

 アウトレットモールは今や日本にも数多く存在しテレビCMも盛んである。でも実際行ってみると自分に合うサイズの品薄感は否めない。同じ日本人が殺到するゆえ売れ筋のサイズが品切れになるのは当然だ。

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 その点、ハワイのアウトレットはローカルの人たちと日本人のサイズが異なるので意外と豊富に残っている。また、アメリカを代表する紳士服ブランド「ブルックス・ブラザーズ」は、ハワイでは唯一ここにしかなく、日本でも人気の「スケッチャーズ」は2足買うと2足目半額セールを常にやっている。

日本人向けのサイズが豊富なワイケレ・プレミアムアウトレット

 実はワイキキから出るバスもワイケレのアウトレット近くまで走っている。というのもワイケレ周辺に暮らすローカルの人々が彼らの職場であるワイキキやホノルル市街との往復に使う路線だからだ。ホノルルのダウンタウンに何ヵ所も停車しつつ、やがては高速に入り一路ワイケレを目指す。

 詳しいバス路線の紹介も可能だが、それは検索すれば丁寧に説明をしているサイトがいくつも見つかる。でもそこには、乗り放題チケットも使えるとか、ハワイローカルの普段の生活が垣間見られるといった動機付けの話は少ない。

 ぼくは「なるほど、簡単そうだし挑戦してみよう!」「こんな旅のやり方もあったのか、是非トライしたい」と、2回目のハワイ旅行を数倍楽しむ皆さんの背中を押すことが目的だ。

 バスはアウトレットと同じ出口から出て、右側に見えているのに逆方向に曲がってしばらく走ったところが停留所。ここから炎天下徒歩15分。多少キツイがツアーバスを使えば片道10ドルとか徴収されることを考えると、こんなに長距離乗ったのに乗り放題券が使えることに感謝すら覚える。もちろんバス料金はすべて統一の2.5ドルなのだが。

 戻りのバスの時間はアプリで確認し、ぎりぎりまでマクドナルドやスタバで待機すればいい。めげれば帰りだけツアーバスを使うという手もあるので、ゆるく行こう。

第四世代を感じさせる新感覚ディナー

 残念ながら「ワイケレ・プレミアムアウトレット」内にはオススメの飲食店は存在しない。クルマで行く場合、ぼくは途中で別の高速道路H2に入り、島の真ん中にあるワヒアワという町に立ち寄ることが多いのだが、それはまた別の機会に。

 ワイキキに戻った後の3回目のディナーである。

 チャイナタウンのところでも書いたが、今ハワイの料理店は第四の世代、ハワイの魅力や市場を知ったアメリカ本土や世界中の料理人が、改めて世界からハワイを目指す構図ができつつある。

 ハワイ諸島は、地球本来の持つ『磁場』とでもいいたい神聖で絶大なパワーを、端的かつ如実に感じることのできる場所だ。一日でも長くいればいるほど、カンの鈍い自分でも体内から悪いものが地表に落ちていき、どんどん肉体が浄化され精神が解放されていく様を知る。単に、きれいな海や気候や風だけではないスピリチュアルなものが本当に存在するのだ。それゆえ、現代社会に疲れたヒトがそこに吸い寄せられるのもよく分かる。しかも、国の仕組みやシステムや医療は、世界で最も進んでいるであろうアメリカ合衆国なのだ。

 話はそれたが、ここで紹介するのは、ネオミャンマー料理「ダゴン」。オアフ島のグルメストリートと呼ばれるサウスキング通り(South King St.)沿いにある。ここは徒歩では難しいのでUberでクルマを呼ぼう。ワイキキからクルマで10分程度。小さな店なので予約も必要だ。

このカンバンが目印

 日本人にはなじみが薄いが、もちろんハワイでも、インドやタイ、ベトナム系のレストランは多数あれどもミャンマーはあまり聞いたことがない。

 ところが大変スバラシイのである。ステキな女性スタッフ、ハワイでは大きすぎない適度なポーション、繊細にアジアが織り込まれたヘルシーな料理。ハワイでこそ味わいたい新しいアジア料理のカタチである。パイナップルなどの甘い果物をソースやカレーのベースにしつつも、なぜこのように洗練されるのか不思議なほどだ。こちらもBYOB、つまりアルコール飲料持ち込み可。

 ところで、何度もハワイに行っている妙齢の女性グループにこの店を紹介したら、店の外に買い物に行くには怖かったと言われ衝撃を受けた。「ダゴン」のあるサウスキング通りは、東京でいえば外苑東通りのような幹線道路で、前述の「Kenzo」「アラン・ウォンズ」をはじめ、話題のレストランが多数点在するストリートでもある。人通りはさほど多くなく、回を重ねた旅行者でもあの雰囲気を怖いと感じるのかと気づき、安全安心を説明する重要度を再認識した。