「野球が出来る今の幸せをしっかりと感じ感謝をしながら投げたい」
「震災で普通の事が普通ではないと知りました。お風呂に入る事や食事、学校に通う事。野球をすること。今まで普通だと思っていたことがそうではなくなることがあるという事を感じました。今でも普通の生活が出来ない人は沢山いる。だから、こうやって野球が出来る今の幸せをしっかりと感じ感謝をしながら投げたいと思っています。そしていつか自分の投球で勇気を与えられる存在になれるように頑張りたいと思っています」
凛とした表情で前を向く佐々木の視線の先にはあの日、震災から2年後の誕生日に目にした田中の魂の投球がある。絶対的エース。チームを勝利に導く存在。完璧に近い投球。堂々たるマウンドさばき。そしてマウンドに上がる事で見ている人の心を強く動かし、感動を提供できる偉大さ。あの日、多くの日本人は悲しみを希望へと転換させた。イーグルスファンだけではなく、野球好きの人だけではなく、多くの日本人が心を揺らされた。
「これまで多くの人に支えてもらいました。そして助けてもらいました。今度は自分が恩返しをする番。その想いは強いです。目標は沢村賞。それは投手にとって一番の称号だからです」
令和の怪物と呼ばれることを佐々木は嫌がる。それはそうだ。まだプロでなにも結果を出していないから。ただ、目標は明確であり目指す姿は具体的だ。子供の時にマーくんから夢をもらったように、今度は自分自身が多くの子供たちの夢となりたい。千葉ロッテマリーンズの背番号「17」、佐々木朗希の挑戦が始まる。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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