自分には合わない会社もある
2社目は、社会人教育や投資などを手掛ける会社。
この企業がもつオウンドメディアの編集などを担当する職種で面接に進みました。
面接はSkypeでも良いとのこと。地方に住んでいる身としてはありがたく、交通費や移動の手間を考えて、Skypeでお願いしました。無職なのでお金は貴重です。
こちらは、業務にはなんら不満はありませんでしたが、面接を通して唯一にして最大の懸念が浮かび上がりました。社風がどうやら自分には合わない、ということです。
面接中、話の流れで面接官がリクルート出身者ということが判明しました。ただ、それだけのことなのですが、
……リクルートかぁ。私には抵抗がありました。
学生時代、リクルート系の企業から内定をもらうのは、私と正反対のリア充の極みのような人ばかりだったのです。経済学部や法学部で実学を学んで、資格やらTOEICやらを受けて、テニサー(テニスサークル)入っておしゃれなカフェでバイトしている、みたいな。まぁ、偏見かもしれませんが。
そんなリクルートから転職した人が「働きやすい人ばかり」と誉めそやすようなタイプの人々と、自分が合うとは到底思えませんでした。
これも選考辞退したほうがいいかな、と考えているうちに、向こうからお見送りの連絡が来ました。「やっぱりな」と思う気持ち半面、「ホッ」としました。ここはお見送りの理由は聞かせてもらえませんでしたが、面接官はあの面接で、私の非リアさにちゃんと気づいたのでしょう。
3社目は、エージェント一押しの、福利厚生ばっちりで伸び盛りという化粧品の販売などを行っている会社です。
ここは広告ライター職で面接を受けました。
この頃には、面接にも慣れ、どうにかこなせるようになっていました。向こうからの質問に当たり障りなく答え、こちらからもいつもの「1日の仕事の流れ」「活躍している人の共通点」といった質問を繰り出し、最後にこの業種なら絶対に聞いておかないといけないな、と思っていたことを尋ねました。まさか、それが選考を辞退したくなる答えを引き出すとも知らずに……。
「化粧品は、薬事法なども絡んでくると思うんですが、広告制作時に気を付けていることやルールはありますか」
「ルールはとくにありませんね。強いて言うなら、文章を最初から最後まで読んでもらい、注文につなげることでしょうか」
え~!? 正直、驚きました。化粧品を扱いながら、薬事法や景品表示法に抵触しないようにするための社内ルールがない。ちょっと非常識じゃない!? そんなんで良いわけ・・・。
この答えを聞いた瞬間、「選考辞退しよう」と思いました。どう考えてもヤバい。福利厚生がいくら整っていても、いつか大変なことになるでしょう。
数日考えた末、エージェント経由で選考辞退の連絡をしました。なお、向こうからもお見送りの連絡もありました。
ちなみにこの会社、その後景品表示法に基づく措置命令が出されていたので、私の「ヤバい」という不安は的中したわけですが……。
そして持ち駒はなくなった
いずれにせよ2016年12月初旬、私はこうして手持ちの駒をすべて使いきってしまいました。すっからかん。選考中の企業は一つもなくなりました。
転職活動を始めた当初は、12月中には内定をもらって、1月から働きはじめたいなあなんて思っていましたが、現実はこんなもの。
どうしたものか……。
内定がないまま年を越すのは仕方がないにしても、気持ちよく新しい年を迎えるために、選考中の企業を1つ2つ持っておきたい。
しかし、絶対向いてない仕事や合わない仕事に手あたりしだい応募するというのも、結局自分のためにも企業のためにもならない、という反省もありました。
ここで私は転職活動の戦略を変えることにしました。
そして、ある求人サイトを開きます。
「よし、海外の仕事探そう」
キヨシマの転職活動メモ
一、 「向いていない企業」はある。手当たり次第に応募するのはやめるべし。
一、仕事は日本以外にもある。
※この連載は、新聞記者として5年働いたキヨシマによる、「脱力系」転職活動記です。書かれていることは全て現在進行形のノンフィクションです。