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”コントの時代”を創った男が語る「日本テレビにあって、フジテレビにないもの」

テレビバラエティ演出家・小松純也さんインタビュー #4

ライブドア・フジテレビ騒動の年に『27時間テレビ』総合演出

――その後、2005年の『27時間テレビ』(正確には『25時間テレビ』)では、小松さんが総合演出、鶴瓶さんがメインMCとしてコンビを組まれましたよね。

小松 上から「演出やれ」と言われて4回断ったんですよ。前の年は片岡飛鳥が10年越しの構想である『めちゃイケ』ベースの企画でうまく成功させたんです。あれは片岡と岡村(隆史)さんたち「めちゃイケメンバー」の物語でもあったわけですけど、『27時間テレビ』ってそういう「内なるドラマ」がないと、うまくいかないんです。ドキュメンタリー性というか。僕は当時『お台場明石城』しか担当してなくて「内なるドラマ」という材料は不足してました。でも結局、任されてしまって焦ってた時に、あのライブドアの問題が出てきたんです。

©三宅史郎/文藝春秋

――2005年、あの騒動の年の『27時間テレビ』の総合演出を担ったんですね!

小松 それで「ドラマの要素」はこれしかないと思って、「ライブドアと徹底抗戦するフジテレビ」というコンセプトで行くことにしたんです。テーマは「テレビはハートで作るもの」。要は、金じゃねえっていうことです。ただ、そういう熱い思いをストレートに出しては『27時間テレビ』じゃなくなってしまう。そこで代弁者としてお出まし頂いたのが鶴瓶さんだったんです。結果、鶴瓶さんを主役にした壮大なコントになった。忘れられない仕事です。

NHK『チコちゃんに叱られる!』で岡村隆史を起用した理由

――そこから約11年の「沈黙」を経て、“演出家・小松純也”が『ドキュメンタル』で復活したわけですが、小松さんの最近のテレビでの仕事についても聞かせてください。まずNHKの『チコちゃんに叱られる!』。小松作品とは全く知らなくて、後からびっくりしました。パネラーのひとりが岡村さんですね。

小松 岡村さんとちゃんとお仕事するのは初めてですね。正確に言うと、『27時間テレビ』の時や『ENGEIグランドスラム』の立ち上げはやってたんでご挨拶程度はあったんですけど。

岡村隆史 ©時事通信社

――なぜ岡村さんを起用しようと?

小松 やっぱり全体的にかわいらしい番組にしたかったんです。できれば子供たちにも見てもらいたい番組ですし。岡村さんと「チコちゃん」というキャラクターの組み合わせが、キャッチーな空気を生んでくれるんじゃないかと。岡村さんの独特な優しい感じや、かわいらしい感じが、端的に言うと、映像的にすごく見える感じがしたんです。

――チコちゃんの声を木村祐一さんにしたのは?

小松 鶴瓶さんと香取慎吾くんが出演していた『平成日本のよふけ』という番組の「赤さん」というキャラクターの声を木村祐一さんにやっていただいたんですけど、憎たらしい5歳の、でもかわいい子を演じるのは、実は木村祐一さんが一番上手なんじゃないかと僕は思うんです。それでお願いしたら、本当にハマりましたね。

――いわゆる情報番組みたいなものを面白く見せるのは難しいと思いますけど、そういう意味で工夫した点は?

小松 実は番組で扱う「雑学」って、もう何周もしてるんですよね。要はプレゼンテーションの仕方で、包み紙を上手にデザインすることで、それがキャッチーにもなるし、つまらなくもなる。視聴者の体感の仕方のデザインを変える。そういうことに実は結構こだわりがあります。『チコちゃん』の場合は特に、「気づき」ですね。「人と別れるときに、なぜ手を振るの?」というような、意表を突かれる質問と、その答えへの驚きというか。『トリビアの泉』の「へえ」とはまたちょっと違う、もうちょっと「あ、そういえば、自分はボーっと生きてたな」って思わせる気づき。その切り口から情報を探っていくところが、一個新しいところかなと思います。そして何より、かわいい女の子がNHKで「ボーっと生きてんじゃねーよ!」って罵倒するっていうのを実は個人的には見たかったんです(笑)。

©三宅史郎/文藝春秋