山本幸三 地方創生相
「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。観光マインドが全くない。一掃しなければ駄目だ」

ハフィントン・ポスト 4月17日

山本地方創生相 ©時事通信社

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。朝鮮半島をめぐる問題、シリアをめぐる問題など、世界情勢が緊迫の度合いを増しているが、閣僚をはじめとする政府・与党議員の失言、失態が止まらない。1ヵ月どころか1週間単位で次々と出てくるのだから、これは異常事態だ。

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 まずは山本幸三地方創生相の失言から。4月16日、滋賀県大津市で開かれた地方創生に関するセミナーでの発言。学芸員は博物館に置かれる専門職員だが、地方創生にとっては「がん」であり「一掃しなければ駄目」だというのだから穏やかではない。

 当然ながら、「学芸員なしにどうやって美術館や博物館が成り立つと思ってんだ」と批判が殺到。当の学芸員たちも「観光への安易な活用ばかりを強調する発言にがっかりした」「もうかるなら文化もただ消費すればいい、という発想を感じる」と怒りを隠さない(京都新聞 4月19日)。

 また、セミナーで山本地方創生相は大英博物館を例に出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」とも述べていたが、大英博物館の広報担当者は取材に対して「観光のためにスタッフを解雇したことも、根本的な建物の改装をしたことも決してありません」(ハフィントン・ポスト 4月20日)とあっさり全面否定した。

 結局、山本地方創生相は発言を撤回して陳謝したが、今村雅弘復興相の「(自主避難者が故郷に戻っていないことについて)本人の責任」、鶴保庸介沖縄北方担当相の「土人発言、差別と断定できない」「(政府と沖縄県の訴訟について)早く片付けてほしいということに尽きる」、務台俊介内閣府政務官兼復興政務官(後に辞任)の「長靴業界はだいぶもうかった」に続く閣僚からの問題発言に厳しい目が注がれている。しかし、それでも安倍政権は安泰の模様。まさに「1強」の緩みか、驕りか。

金田勝年 法相
「森林窃盗の対象には竹、キノコの他、森林内の鉱物、岩石なども含まれ、相当の経済的利益を生じる場合もある」

毎日新聞 4月18日

「私の頭脳で対応できなくて申し訳ありません」でおなじみの金田法相 ©石川啓次/文藝春秋

 キノコ好きの人々に激震が走った。「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をテーマに国会で議論がスタートしている。テロ等準備罪とは、テロ集団や犯罪集団が犯罪の準備に至った段階で処罰の対象とするというものだ。

 民進党の山尾志桜里議員は、処罰対象にテロ対策や犯罪集団とは無関係に見える「著作権法」「文化財保護法」「種苗法」などが数多く含まれていることを追及。森林法も対象犯罪に含まれていることから「保安林でキノコを採ることもテロの資金源となるのか」と質問すると、金田法相は上のように回答した。つまり、保安林のキノコを採って売れば、テロ組織の資金源になるから「テロ等準備罪」の対象になるというわけだ。

 金田法相といえば、同法案を議論している最中の今年2月に「私の頭脳で対応できなくて申し訳ありません」と発言したことで知られているが、大臣のふわふわした答弁の向こう側でキノコをはじめとした何だかよくわからない事柄まで「テロ等準備罪」に含めてしまおうという動きがあることは間違いない。