女子会という言葉が死語化し、あまり女性同士で「女子会しよう」とは言わなくなってきましたが、使わなくなってからその使い勝手の良さを痛感しています。本日も女子会と呼ぶしかない楽しい会合に行ってきたのですが、そこにいた美女が男性と付き合ってすぐすることがあるという話になりまして。

©犬山紙子

 なんだろう、借金の有無の確認? DVの気があるかのテスト? あ! 本当に独身かどうかチェック!? と勘ぐるも全部違う。まあ、そうか、それは付き合う前にチェックしておくところか。

「そうじゃなくて、私がその時に好きな本の中からエログロがきつい本や漫画を貸すの」だそうで。

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「付き合いたての頃って、相手が何してもかわいいころだから、その時のうちにドン引きしそうな部分を見せておこうと思ってて。後でドン引かれても困るから」なるほど……普通は最初猫をかぶって徐々に本性を出していくパターンが多いけど、その逆のやり方ってのもあるのか。恋愛初期のあばたもえくぼ期間、3ヶ月間あたりで見せてしまうって、変に猫かぶるよりも誠実で賢いかもしれない。

「前付き合ってた人とは最初に会田誠さんの展示に行ってミュータント花子を彼の前で絶賛して。その前の人には谷崎潤一郎の春琴抄を貸すってな具合で。別に私がそういう性癖があるわけじゃないんだけど、最初にドン! とすごいのを渡しておくとその後耐性がついてくれるからね」う~む、私も自分の恋愛を思い出すと同じことを逆に男性からされていました。

 あれはもう10年以上前か、当時つきあった彼氏から最初に貸されたのが山野一の「四丁目の夕日」(とにかく不幸を不幸で煮詰めてどん底に落ちる模様が入念に描かれている)でして、微妙にトラウマになったのですが、そこからは彼が何を読んでようが何とも思わなくなりましたもの。

「紙ちゃんはまだそういうの好きだから別にいつその漫画を貸されても大丈夫だったとは思うけど、私の相手は港区系とかだからさ、本当にこういうワクチンが必要だったのよ」と彼女。うーむ、エログロ読んでるからってドン引きされることって本当にあるかしら? と思ったけど、確かに私もどれだけ好きな人でも「お金持になる本」的なのを読んでるのを見たらドン引きするから、本で引かれるってのは実際あるものですね。

 趣味の違う相手に本のワクチン、もしかすると変態と呼ばれる人たちもそうやって徐々にパートナーを馴らしていってるのかも……。