札幌市で実施される東京オリンピックのマラソンコースが12月19日、とうとう決定した。
後半のコースは10kmを2周する。事前に決まっていた20kmを1周する前半と合わせて、札幌市の中心部を変則的に3周することに。果たして「変則3周」というのはどんなコースなのだろうか。
現役時代同じく札幌を舞台にする「北海道マラソン」で3度の優勝を経験しているスポーツコメンテーター・千葉真子さんに聞いた。
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札幌の人たちに「移転してもいいですか」と聞く暇もなかった
11月に入って急に「東京五輪のマラソン、競歩が札幌に」という話が進み、札幌の人たちには「移転してもいいですか」と聞く暇すらありませんでしたよね。地元では困惑の声が広がったとも聞いています。
そういった中でのコース選定。コース前半の「市街地の約20kmを1周する」というのは札幌市の意向だったと聞いていますから、これが導入されて良かったとほっとしています。
さっぽろテレビ塔をバックにスタートし、すすきの、中島公園、北海道大学に赤れんが庁舎……市内の観光名所を走るコースですから、札幌の素晴らしさを世界に向けて発信できますよね。ゆくゆくはこの20kmをベースに“五輪メモリアルハーフマラソン”のような「レガシー」を札幌に遺すことも期待できます。
「北海道マラソン」で感じた“札幌の人たちは応援が上手い”
私は2001年、04年、05年と「北海道マラソン」で3回優勝させてもらっていて、札幌はランナーとしてもすごく思い入れの強い場所です。現役で15回レースを走ったうち、じつに4回が札幌だったんです。06年の引退レースも「北海道マラソン」を選びました。
「北海道マラソン」は五輪と同じく8月に毎年開催されるのですが、30年以上の歴史ある大会で運営や応援の実績もあります。
発着地点の大通公園からはテレビ塔が見えるのですが、大会のときにはその時計が1分前から、59、58……とカウントダウンが始まって、10秒前からはランナーも沿道のお客さんも一緒に拍手してスタートの瞬間を盛り上げるんです。
またすすきのや中島公園など市街地コースでは沿道の両側に三重、四重もの人垣が出来て、まるで応援のトンネルをくぐり抜けるような大声援につつまれて、高揚感とともに走れたことが忘れられません。
マラソンが札幌に移転したことで新国立競技場発着ではなくなり盛り上がりを心配する声もありますが、今回決定した五輪コースも「北海道マラソン」と重なる部分が多いので、“マラソンを盛り上げるのが上手な”札幌の皆さんが選手との一体感を演出してくれるでしょう。
そしてコース後半の20kmは「10kmを2周する」ことに決まりました。