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周回コースはなぜ世界のトレンドなのか?

千葉真子さん ©文藝春秋

 沿道のポイントによっては3度選手が通る場所も出来ました。マラソンの生観戦は、テレビで見ているよりもスゴく速く選手が通り過ぎて行くんです。ヒュッと目の前を走り去って「あれ、もう行っちゃった」と。でも周回コースになったことで沿道のお客さんも、選手を見るチャンスが増え、より楽しめるはずです。

 そもそも周回コースというのは世界大会のトレンドで、ロンドン五輪(2012年)やリオ五輪(2016年)もそうでしたが、コースがコンパクトになって、設営、ボランティア、交通規制などの様々な労力や費用が抑えられます。

 しかも選手にとってもプラスで、周回コースではお客さんが固まる分、声援をより多く感じながら走れます。

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「北海道大学」がメダルのポイントになる

 後半のコースで、私が「北海道マラソン」を走ってよく覚えているのが北海道大学です。緑に囲まれた場所を走れるので“心のオアシス”のようでした。8月の五輪を走る選手にとっても木陰が多いので、日光を避けられてリフレッシュしながら伸び伸び走れると思いますよ。

 そして北海道大学内はジグザグカーブがあります。五輪では30km手前、40km手前で2度このジグザグを迎えます。駆け引きが激しくなった展開ではこういうポイントで後ろの選手を引き離す作戦がよく取られますので、そういう意味でも北海道大学がメダル争いの勝負所になる可能性が大いにあります。

緑が多い北海道大学 ©iStock.com

 そもそもマラソンが札幌に移転された背景には、昨年カタール・ドーハで行なわれた世界陸上(9月27日~10月6日)の影響が大きい。特に女子マラソンでは、暑さを考慮して深夜23:59スタートだったのにも関わらず、68人の参加者中28人が棄権という大会史上最も低い完走率(58.8%)でした。ゴールラインに車椅子が並んでいて、次々に選手が運ばれてくるという光景は、選手の安全第一の視点で言えば、世界大会にはふさわしくないと感じた方も少なくなかったはずです。

 8月の最高気温の平年値は東京が30.8度、札幌が26.4度だそうです。そして札幌開催になったことで、スタート時間が東京で予定されていた朝6時から7時に変更になりました。6時スタートの場合、選手は2時ごろに起床しますが、それが3時と1時間変わるだけでも負担は大きく減ります。それは周りのスタッフやボランティアの方もそうですし、応援の方々も朝1時間遅くなったことでより沿道に出やすくなるのではないでしょうか。

2019年の東京と札幌の気象データ比較(※競技の日時は当初予定されていたもので、最終的に変更されている)