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科学的根拠に基づくがん予防 驚異的な効果の“5つの習慣”とは?

最新の医学研究からわかった予防法は意外にも……

2017/05/05

熱いもの、ハム・ソーセージ、赤身肉に注意!

 食塩以外では、「野菜や果物不足にならない」「飲食物を熱い状態でとらない」とされています。熱いものを食べると、食道がんや口腔・咽頭がんのリスクが上がります。また、ハム、ソーセージなどの加工肉や、牛、豚などの赤身肉は大腸がんのリスクを上げる可能性があります。ですから、焼肉やステーキが大好きという人は、食べる頻度を控えたほうがいいかもしれません。

熱々の飲み物やステーキ、焼肉はおいしいけれど… ©iStock.com

「太り過ぎ」だけでなく「やせ過ぎ」もがんのリスクを上げる

 <身体活動>では、「たとえば、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行いましょう。また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行いましょう」とされています。身体活動は、大腸(結腸)がんのリスクを下げることが、「ほぼ確実」と評価されています。

 それだけでなく、1日8000歩以上歩けば、高血圧、糖尿病、がん、認知症、うつ病などを予防できるとする研究もあります。無理に1万歩以上歩いたり、激しい運動をやり過ぎると逆効果になりかねませんが、適度によく体を動かすことで、がんだけでなく、多くの病気予防になるのです。

 <体形>は、「体重kg÷身長mの2乗」で計算される体格指数(BMI、標準は22)が、中高年男性は21~27、中高年女性は21~25の範囲内になるよう体重を管理することが目標とされています。とくに女性は、閉経後に太っていると乳がんのリスクを上げることが「確実」と評価されているので要注意です。また、大腸がん、肝がんのリスクを上げることも「ほぼ確実」とされています。

 ただし、過度なダイエットは禁物です。BMIが21未満のやせだと、がんのリスクが上がることも示唆されているからです。一方、BMIが30以上だと明らかにリスクが上がりますが、これほど太っている人は、日本人では20人に1人もいません。ですから体形に関しては「太り過ぎ」だけでなく、「やせ過ぎ」にも注意したほうがいいのです。

5つの生活習慣を見直せば男性はがんのリスクが半分近くに

 <感染>については、前回も解説したとおり、B型およびC型の肝炎ウイルス(肝がん)やヘリコバクター・ピロリ(胃がん)などが、リスクを上げることがわかっています。これらの感染の有無について一度は検査を行って、感染していたら専門医に相談をして、適切な対応を取ることが大切だと言えるでしょう。

 これらのうち、<感染>をのぞく5つの項目(喫煙、飲酒、食事、身体活動、体形)は、日頃の生活習慣に関わることです。もう一度ここでおさらいしてみましょう。

(1)<喫煙>   たばこは吸わない。他人のたばこの煙をできるだけ避ける
(2)<飲酒>   飲むなら、節度のある飲酒をする
(3)<食事>   偏らずバランスよくとる
(4)<身体活動> 日常生活を活動的に
(5)<体形>   適正な範囲内に

 これらの生活習慣を実践することで、どれくらいがんのリスクが下がるかも推計されています(国立がん研究センターがん対策情報センターパンフレット「科学的根拠に基づくがん予防」2016年7月第1版第3刷)。

 それによると、5つのうち2つ実践すると男女とも14%、3つ実践すると男性28%、女性27%、4つ実践すると男性39%、女性32%、5つ実践すると男性43%、女性37%リスクが低下すると推計されているのです。これに感染対策が進めば、もっとリスクは減ることになるでしょう。

 日本人のがん予防法を見て、拍子抜けした人も多かったと思いますが、実はこれぐらい効果の大きなものなのです。しかも、多くの公費が費やされているがん検診と違って、これらの予防法は自分でできることばかりで、お金はほとんどかかりません。タバコをやめれば、支出の節約にもつながります。