文春オンライン

紙面で追う「正解は一年後」 「国会から逃げた首相」の「五輪花道論」はどうなる?

さらに「日本は五輪で再生する」?

2020/01/10
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大晦日の記事にクイズの「正解」が……

《首相やその周辺は今年初め、5月の改元やトランプ米大統領の国賓来日で見せ場を作った後、6月の大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせた日露首脳会談で北方領土問題を大筋合意に導き、夏の参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」に打って出る青写真を描いていた。大勝して憲法改正に弾みをつける腹づもりだった。》(2019年12月31日)

トランプ大統領夫妻と安倍首相夫妻 ©JMPA

 衆参同日選に打って出る青写真を描いていた、と普通に書いてある。同日選の噂は本当だったのだ。年末に秘話を大サービスしてる読売師匠。

 同日選を見送った理由は、

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・日露交渉は暗礁に乗り上げ、目算は狂った。
・「老後の生活資金に2000万円が必要」とする政府の金融審議会の報告書で年金不安が高まるなどの誤算も重なり、首相は同日選見送りを余儀なくされた。

 という理由らしい。大晦日の記事にクイズの「正解」が書かれていた。

毎日社説には「国会から逃げた首相」

 さて、読売の「正解は一年後」記事に繋がっていたのが同じく大晦日の毎日新聞社説である。

「安倍政治、この1年 ほころび隠せぬ最長政権」(2019年12月31日)

 次のお叱りが強烈だった。

《この1年、一段とあらわになったのは長期政権のおごりやひずみである。国会軽視どころか、議論を封じて逃げる姿勢も際立った。》

 逃げたのはゴーン被告だけではなかった。毎日社説は「国会から逃げた首相」と書いた。続けて、

元日産会長のカルロス・ゴーン被告 ©AFLO

《「議論封じ」を象徴したのが、金融庁の審議会が6月、夫婦の老後資金は公的年金だけでは「約2000万円不足する」と試算した報告書をまとめた一件だ。》

 この問題は国民全体で議論する好機となったはずだが、

《直後の参院選で争点になるのを恐れて、麻生太郎副総理兼財務相は報告書を受け取らず、報告書をなかったことにしてしまった。》

 この部分、読売が大晦日に書いた「同日選を見送った理由」と併せて読むと面白い。いかに政権が年金2000万円問題についてマズいと思ったか想像できる。その結果「議論封じ」「逃げる」(by毎日社説)という選択をしたのである。