ジャーナリストの横田増生氏が取材した、「ヤマト運輸は『ブラック宅急便』だ」が電子書籍で緊急発売された。

 

 ヤマトホールディングスは4月18日、記者会見を開き、傘下のヤマト運輸が、労働基準監督署からの是正勧告や労働組合からの要望を踏まえ、グループの約5万人に対し、2年分、190億円の未払い残業代を支払うこと、それにより営業利益が半減する見込みであることを発表した。

 一企業が、自主的に100億円を超える残業代を支払うことは前代未聞である。

ADVERTISEMENT

 横田氏は、2014年夏、ヤマト運輸に1ヶ月潜入し、『仁義なき宅配』(小学館)でその過酷な勤務実態と、過去に繰り返し労基署から「注意」されていたことを明らかにした。

 ヤマト運輸の長年の宿痾であったサービス残業の問題が、なぜ今見直されるに至ったのか。

 その決定的な要因が、2人のベテランドライバーの告発である。

 彼らの告発が端緒となり、労働基準監督署は2016年9月、神奈川県横浜市の平川町支店に対して未払いのサービス残業代に対する是正勧告をし、同年12月同支店に対して、三六協定違反、大臣告示違反という2つの是正勧告をするに至った。

 さらに、彼らは弁護士を立て、未払い残業代の支払いについて、労働審判の場でヤマト運輸と争った(2017年3月23日に横浜地裁で和解が成立)。

 3月10日発売の「文藝春秋」で発表された「ベテラン運転手が違法残業の実態を告発 ヤマト運輸は『ブラック宅急便』だ」は、ヤマト運輸の「働き方改革」の発火点となった2人による、慢性的な人手不足の実態、同社の看板商品「クール宅急便」をはじめとするサービスの劣化を訴えたものだ。
 
 緊急刊行が決まった同記事には、ヤマト運輸、ひいては日本の物流の現場で何が起こっていたかを理解するための「ヒント」がちりばめられている。また、「実名告発」から2ヶ月、その後のヤマト運輸の「改革」のあり方を横田氏が分析した書き下ろしの前文が新たに収録されている。

【書名】ベテラン運転手が違法残業の実態を告発 ヤマト運輸は「ブラック宅急便」だ
【販売価格】300円(税込)※発売から1カ月間は特別価格100円
【配信日】5月10日
※価格、配信日は電子書店によって異なります。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1692039800000000000B