いま、日本で一番売れているクルマといえばホンダの軽自動車「N-BOX」だ。2018年の販売台数は24万1870台、2019年は25万3500台。月平均で約2万台売れていることになる。消費税増税後の落ち込みも思いのほか小さく、2018年の実績を上回る販売台数となった。
もはや現代の国民車
N-BOXは、軽自動車の車型の中では「スーパーハイトワゴン」と称されるカテゴリーに属する。全高は1750mm前後と成人男性の平均より高く、後席ドアはスライド式、前席左右間はウォークスルー可能といった特徴が共通で、スズキなら「スペーシア」、ダイハツなら「タント」が同じ属性となる。
というよりも、そもそもこのカテゴリーは2003年にタントが先鞭をつけたもので、以来N-BOXやスペーシアなどのフォロアーを伴いつつ、着々と大衆に受け入れられてきた。ちなみに2019年の軽自動車販売台数ランキングではタントが2位、スペーシアが3位。もはや現代の国民車と位置づけても差し支えはないだろう。
普通車よりも高くても……
スーパーハイトワゴンは軽自動車でありながら、価格帯は130万円前後からと、普通車とモロに被っている。限りなく同等な加飾、快適装備を持つグレード同士で比較すると、例えばタントは同門のリッターカーよりも高いくらいだ。いやはや近頃の軽自動車はそんなに高いのか……といえばさにあらず。傍らでは同等装備で100万円を切るモデルもきちんと用意されている。おまけにそちらの方が軽いぶん歴然と燃費がよく、タイヤやブレーキなど消耗品のことを考えると維持費も安い。
つまり国民車と位置づけられるほどの人気の理由は値札ではない。軽自動車や小型車の価格競争はライバルより3万円高ければ致命傷といわれるほど熾烈だが、一方でユーザーは30万円高いお金を払ってスーパーハイトワゴンを買っているわけだ。