こんな広さはどんなに高級なセダンでも絶対に得られない
それほどの余分を払ってまで期待される機能は、大半が背高ボディからなる爆発的な室内容量に起因している。後ろのスライドドアを引き戸よろしくガラガラと開けて後席に乗り込むと、膝や腰を大きく屈めずともスルッと車内に収まる乗りやすさ、そして後席に座ってみれば圧倒的な足元空間に心を掴まれる。こんな広さはどんなに高級なセダンでも絶対に得られない。なんなら住めるぞこりゃあと思いきや、グレードによっては件の引き戸が電動で開閉したりもするし、施錠も鍵を出す必要がない。もはや家より気が利いている。
車庫にあって下手な物置より莫大な空間は、もちろん様々なニーズを受け止める。とりわけユーザーが利便を実感するのが、26~27インチタイヤの自転車をまるっと1台、立てたまま積めるというもの。27インチといえば中高生や大人が乗るシティサイクルの車格だ。
たとえば朝、通勤や通学で自転車で駅に向かったものの帰りは雨……となると、バス等の交通手段もないエリアなら在宅の母親が駅に迎えに行くというのはよくある話だ。と、この際、もしクルマに自転車が積めれば、母親は翌朝の送りの手間が省けることになる。
家族生活の些細な欲求にエンジニアが真正面から応え続けた
あるいは塾通いに自転車を使う子供を、夜遅い時にはクルマで迎えに行きたいということもあるだろう。スーパーハイトワゴンは重い自転車を女性の力でも楽に出し入れできる大きな開口部と低い床面を採用し、この要望を叶えた。前述3車種の車両紹介HPをみると、揃いも揃って自転車が立て積みされている。
他にも子供とレジャーに出掛けた際に立ったまま着替えさせたいとか、チャイルドシートに座らせやすいとか、家族生活の些細な欲求にエンジニアが真正面から応え続けた結果、スーパーハイトワゴンは完全機能形状として今のプロポーションに落ち着いたのだと思う。
というわけで既にライバル間で激しく切磋琢磨されてきたこともあり、前述3車種の機能面について、特筆するような差異はない。そんな中、N-BOXが販売において大きく他を引き離す理由はどこにあるのか。