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2019年に日本で一番売れた軽自動車「N-BOX」は何がすごいのか

背高ボディからなる爆発的な室内容量で、もはや「住める」レベル

2020/01/09

一気にシンプル路線に向かっているホンダ車のデザイン

 身も蓋もない理由として販売店舗数が他2社よりも多いということもまず挙げておくべきだろうが、クルマ屋的な視点でみれば、N-BOXは他2車種に比べて各項目が綺麗に少しずつ抜きん出ている。使い勝手面ではホンダ独自のセンタータンクレイアウトもあって後席側の床面がきっちりフラットにできているとか、内装の質感が普通車もかくやの仕上がりとか、エンジンや路面からのノイズがよく整理されているとか、乗り心地も雑なところが少なく高重心の割には不安感がないとか、そういった細かな加点要素の積み重ねで商品の魅力を高めている。

©iStock.com

 と、それはすなわち、「高速を使った長距離ドライブもしないから普通車はもういらない」という熟年層からも受け入れられるクオリティでもあるわけだ。自分の価値観がしっかりした大人にとって、ファンシーやトイジーなクルマというのは我慢ならないものだろうが、この点、N-BOXは中性的ですっきりとしている。世代や性別に偏らないという点も、N-BOXの強さの秘密だろう。近年ホンダ車のデザインは意味が伝わらない複雑怪奇なところから、踵を返して一気にシンプル路線に向かっている。これもまた、N-BOXが世に広く認められた功績かもしれない。

日本人が今クルマに求めるもの

 とはいえ、N-BOXの圧勝状態はいつまでも続くかは不透明だ。スペーシアはマイルドハイブリッドを搭載、実燃費でライバルをリードしている。タントは昨年力の入ったフルモデルチェンジで走行性能も使い勝手も一気にジャンプアップし、子供からお年寄りまであらゆる移動のニーズに応えるライフパートナーと銘打ってコンセプトの社会性を高めてきた。そして今年は日産&三菱がこのカテゴリーのモデルをフルモデルチェンジさせる。

ダイハツのタント ©iStock.com

 ともあれ言えるのは、スーパーハイトワゴンの切磋琢磨による差別化はそのまま、日本人が今クルマに求めるものを最も直接的に反映した成果だということだろう。

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