東京港区東新橋にある商業施設「カレッタ汐留」の“ゴーストタウン化”が話題だ。この施設は約31haに及ぶ旧国鉄貨物駅跡地を再開発した複合都市「汐留シオサイト」にある、アカウミガメの学名「caretta」を冠した商業施設である。

2002年11月、カレッタ汐留(手前) ©時事通信社

シャッターが閉じたままの商店街

 2002年のオープン時は、近未来の複合都市にあるお洒落なレストラン、物販エリアとして脚光を浴び、毎日大勢の客が列をなしたものだ。ところが、最近この施設にあったテナントが続々退店しているという。様子をうかがいに、10月の平日夕方から夜の時間帯に訪ねてみることにした。

 店舗が多くあるのは地下の1階および2階なのだが、おおよそ半数近くの区画でシャッターが閉じたままの、地方でよく見るシャッター通り商店街になっている。木曜日の夜なので、仕事帰りのビジネスパーソンなどでにぎわうはずの居酒屋やバー、レストランなど、どのお店も人影はまばらだ。

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 8月27日に新規オープンしたばかりのシェア型フードホール「汐留横丁」も閑古鳥状態である。かつて鳴り物入りだったこの街にいったい何が起こっているのだろう。

八方塞がりの立地難

 まずこの街の全体像を俯瞰してみよう。カレッタ汐留があるのはA街区になるが、ここにアクセスするためにはJR新橋駅からだと地下街を、左手に汐留シティセンタービル、右側に日本テレビ本社ビルを見ながら歩き続けなければならない。

汐留シオサイト公式HPより

 また地上を歩こうとすると、第一京浜という幅広の大きな道路を横断する必要がある。地上部は横断歩道が少なく、A、B、C街区間の移動は地下道か上層部分にあるデッキを利用する必要が出てくる。A街区の端にあるカレッタは「人を集める」という意味であまり好立地とは言えないのだ。銀座からのアクセスは悲惨といってよいほどだ。首都高速の高架が銀座との境界で遮り、高架下は海岸通りで交通量が多く、銀座方面には途中に上り下りのある奇妙な形の横断歩道を使わなければならない。東側は浜離宮庭園なので、そもそもこちらからの集客は期待薄だ。つまり八方塞がりの場所にできた立地難の商業施設なのである。唯一の近接交通網ともいえる都営大江戸線「汐留」駅は地下深く、しかもカレッタにでるまでにこれも地下鉄駅構内の地下道を歩かなければならない構造になっている。