『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(針貝有佳 著)PHPビジネス新書

 国土は九州くらいの広さで、人口は千葉県とほぼ同じ約590万人。比較的小国でありながら、国際競争力ランキングでは2022年・2023年と連続で1位を獲得している国、デンマーク。しかし、驚くことに夕方4時にはオフィスは空になるのが当たり前だという。本書はそうした社会を成り立たせているデンマーク人の時間の創り方や考え方に具体的に切り込んでいく。著者はデンマーク文化研究家。早稲田大学大学院で、デンマークの労働市場政策を研究し、2009年末にデンマークに移住。以来15年以上に渡って情報発信を続けている。

「著者はジャーナリストとして現地企業の取材なども積極的に行っています。さらに本書のために数多くのビジネスパーソンにインタビューを実施。その成果が、生の声として盛り込まれており、現地描写のリアリティと、翻訳書にはない日本人としての視点が両立している点が本書の特徴です」(担当編集者の大隅元さん)

 たとえば、デンマークでは生産性を上げるために、日本企業では当たり前になっているダブルチェックを省き、会議の参加者も必要最低限。意思決定のスピードを上げるために中間管理職の「承認」を飛ばすこともある……といった具体的な記述が続く。働き方改革が叫ばれながらも、なかなか変われない日本への“外圧”になりそうな一冊だ。

2023年11月発売。初版7500部。現在13刷6万1000部(電子含む)