暴力団同士で久々に血の応酬が派手に繰り広げられた2019年が終わり、2020年は一転、暴力団にとっては厳しい一年となりそうだ。国内最大の指定暴力団六代目山口組とそこから分裂した神戸山口組は1月7日、様々な活動が制限される「特定抗争指定暴力団」に指定された。活路を求め、このオリンピックイヤーに本拠地である関西から東京都内に活動の主軸を移すとの観測も飛び出している。
「特定抗争指定暴力団」への指定で活動が著しく制限
「いやあ、ひまだ」
昨年の末、六代目山口組の関係者はそう周囲に漏らしていた。そう言いたくなるのも無理はない。六代目山口組は昨年、神戸山口組との抗争を繰り広げた結果、神戸市灘区の本部を兵庫県警によって使用禁止とされ、従来は警備・警戒のために常に傘下組織の組員が交代で本部に常駐していた通称「ガレージ当番」などが不要となったのだ。
本部の使用禁止を受け、昨年10月に出所したナンバー2の高山清司若頭の出所祝いや同年12月の六代目山口組全体の納会も、本部ではなく、高山とゆかりのある名古屋市の山口組傘下の組事務所で実施。今後も本部再開の見通しは立たない。
それどころか、六代目山口組と神戸山口組には究極的な「ひま」が待ち受ける。7日に公示された「特定抗争指定暴力団」への指定だ。
「特定抗争指定暴力団」とは、抗争が激化した暴力団を都道府県が指定する制度。指定された警戒区域内では、組事務所への立ち入り、組員5人以上での会合、対立組織の事務所周辺への立ち入り、などの活動が禁止され、違反すれば懲役3年以下の罰則などが科されるようになり、活動が著しく制限される。
モデルケースとされたのは九州・福岡だ。福岡県を拠点とする指定暴力団道仁会から九州誠道会(現・浪川会)が分裂。一般人にまで危害が及んだ抗争を繰り広げた結果、警察庁が制度構築に乗り出し、2012年に第1号として指定。その後、九州誠道会は形式上解散し、抗争に一応の終止符が打たれた。