「六代目側も神戸側も、都内に活動の主軸を移すのでは」
今回、六代目山口組と神戸山口組が指定されれば、同様の制限を受ける。ただ、福岡のケースと違うのは、どちらの組織も全国の津々浦々に傘下組織を抱えることだ。対して「特定抗争暴力団」への指定は都道府県単位。今回の指定は兵庫、愛知、大阪、京都、岐阜、三重の6府県のみ。指定から漏れた自治体は「警戒区域」に入らず、従来通りの活動ができることになる。
ある暴力団関係者は「『特定抗争』に指定された後は、六代目側も神戸側も、今後は東京都内に活動の主軸を移すのではないか」と予測する。
そもそも暴力団はカネのあるところに集まることから、すでに東京には多種多様な暴力団が集中する。これ以上集中するとなれば、東京五輪を控える東京都内の治安維持に更なる難題が重なることになる。
高山若頭の“ノーブレーキ”が垣間見える人事
ただ、六代目山口組の舵取りを担う高山は意に介する様子はないようだ。本部の使用禁止後も自身ゆかりの組事務所を代用しただけでなく、さらなる組織改革にも取り組むとみられている。
高山と組長の司忍と自身の出身母体である最大の2次団体「弘道会」は出所後間もない11月に人事に着手。弘道会のナンバー2である若頭を中野寿城から野内正博にすげ替えた。中野は神戸山口組とのパイプもあり、どちらかといえば「開明派」だが、野内は業界用語でいう「武闘派」とされる。
武闘派といえば聞こえはいいが、実際は目的達成のためであれば人が「いなくなる」ことも厭わないことを指す。捜査関係者は「野内が率いる野内組は、かつて弘道会で対立相手への危害や、警察への脅迫などの裏工作を行っていた極秘組織『十仁会』との関係が取り沙汰されたこともある」と指摘する。そんな人物を中核組織のナンバー2に据えた、ということは高山がブレーキを踏むつもりが露一つないことを物語る。
一連の素早い動きはまた、高山が七代目就任に向けていまだ意欲を燃やしていることも傍証するといっていいだろう。