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みんなに開かれた、ごく普通の本屋さん
店内に入ってまず思ったのが、あたたかいということ。ほこりっぽい道を歩いてきて、ほっとする空間だ。明るい照明、清潔で整った店内、有線放送らしい音楽が静かに流れている。取材日は、土曜日の午後ということもあって何人かのお客様がいらした。雑誌をめくっている方、レシピ本の棚を見ている方、コミックスを選んでいる中学生、レジで取り寄せの書籍について相談している方がいる。
震災関係の本は、文具売り場に震災関連グッズと合わせて陳列している。以前、もっと道路沿いに仮設店舗があったときは、視察ツアーなどでいらっしゃる県外の方が多く、記録写真集のような本が売れたというが、今は落ち着いて、震災関連本の売り場もだいぶ縮小している。
品揃えは、普通の町の本屋さんだ。雑誌、文庫、実用書、コミックが充実しており、新刊も話題書もバランスよく入っている。伊東会長によると、市内に一軒だけの本屋で何かに特化した店にはしづらいため、お客様の反応を見ながら、少しずつそれに応えて売り場を作っているとのこと。お客様は、お年寄りから主婦、小中学生まで幅広い。時代小説やレシピ本、ライトノベル、コミックスが充実しているのも、そういった声に応えていった結果だろう。コミックスやライトノベルの棚で見ると、まずは補充や整頓がしっかりされていて、背表紙が揃っていて気持ちいい。「このマンガがすごい」、「このライトノベルがすごい」などのランキング、アニメ化・ドラマ化作品の原作、人気作のグッズ展開など、町の本屋としてできることを丁寧にしているのも好感が持てる。