都立高校の六割近くで、入学時、対象生徒に「地毛証明書」を提出させているという報道にはビックリ! さらに九日の記者会見で、松野文科相が「文科省が指導することは考えておりません」と答えたのにもガックリ! 「望ましくない」くらいのメッセージは出してほしかったワ。
伝統的に自由な校風であったはずの都立高校で、こういった生活指導が行われていることにまず隔世の感がある。ボクが現場で教えていた頃は、「地毛証明書」をとる都立高校なんてなかったのに……。
この変化には歴史があるの。私立高校の定員を確保するために、都は公私の定員比率を定めたの(都内公立中学の卒業生の6割が都立、残りの4割が私立に進学するよう昔から定員を調整する取り決めがあるのヨ!)。ところが、学校群制度によって希望の都立に進めなくなって、生徒が私立に流れ、制度が廃止されるまでの期間にガクッと都立の地盤沈下が進み私学優位に。そこで「当校は生活指導を厳しくやってます」とアピールするために、表面的な生活指導に縋(すが)ってしまったのね。
現場の苦労はわかる。でも、頭髪は身体の一部。黒髪直毛を強制するなんて人権侵害よ。学校によっては幼児期の写真の提出まで求めるそうだけど、これも明らかにプライバシーの侵害。「疑われないために出しておいたほうがいい」という意見もあるけど、そんな“管理される方が安心”という感覚を子どもたちに持たせるなんて情けない。
ボクの教員経験から言って、校則に反してまで髪を染める子は、家庭でも愛情不足で自己肯定感が低い子が多い。服装が乱れたり遅刻気味だったり、大抵は髪だけじゃなく心の問題なの。だから、「証明書」なんて紙切れに頼らず、辛抱強く信頼関係を築いて、子どもの心を解くことから始めなきゃ。それこそが「教育」なのヨ!