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昔親バレ、今孫バレへ。AVに対する世間の劇的変化。水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(1)

昔親バレ、今孫バレへ。AVに対する世間の劇的変化。水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(1)

2017/05/26
note

今のセクシー女優は承認欲求が満たされる

博士 女の子が憧れる職業の選択肢のひとつになっている。

しみけん

松尾 彼女たちは相当な理由を抱えてAVをやっているし、AVをやったからってタレントになれるわけじゃない。本来すごい葛藤を抱えているのに、表面だけ見ているとそれがわからない。そこだけでAV女優が憧れの人みたいになってくる。なおかつ今はSNSがあるのが大きい。昔はサイン会やイベントがあれば人は集まるんだけれど、どこかで満足感は得られなかった。でも女優がSNSで発信してファンを集めてくると、それが自分たちの評価に繋がるんです。

博士 自分の承認欲求が満たされる。

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松尾 そう満たされる。昔はAV女優なんてやってたら承認欲求は絶対に満たされなかった。売れたとしても白い目で見られるだけだし、タレントさんからは「どうせあいつはAV女優だ」ってずっと言われているわけだから。でも今は自分が作っている小さなコミュニティで満足感が得られる。実際にファンの人に会えば、ファンの人たちがSNSを使って見えるところで応援してくれるじゃないですか。彼女たちはそれを実感できるのが大きいんです。

博士 だから長続きしていく。それこそ秋葉原でサイン会をするから来てくださいと発信したら100人200人と集まって、そこに両親を呼んで、「私の晴れ姿を見て両親も喜んでいて」と言って、それどころか、その晴れ姿を見て、両親はもらい泣きする。あれって不思議だったなあ。

カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
 

松尾 自分たちのコミュニティで変に浄化されちゃうんですよ。それこそ恵比寿★マスカッツのコンサートにはお母さんを呼べるけど、AVの現場に呼ぶわけにはいかないじゃないですか。裸の仕事をやっていても、こんな大きな舞台に立つ仕事だってあるんだよっていうふうに浄化されるようになっちゃった。昔はそんなことは絶対なかったし、AVやったらもう絶対だめだった。でもそれくらいの精神で覚悟を持ってやっている女優がいたから、彼女たちは面白かったし強かった。強いというか、ここでしか生きられない人たちだったんですよ。今の子たちはすごい出来がいいんだよね。

しみけん はい。

松尾 出来のいい男優と出来のいい女優で、普通にお客さんの喜ぶ商品はできる。しみけんの前で言うのもなんだけど、俺はそんなに面白くないんだよね。だからそういうのは他のメーカーにまかせて、ハマジム(松尾監督の所属するAVメーカー)はちょっと違うんです。女の子でも事情が違って、いろいろ抱えていたりする。昔から女の子ってよくしゃべるじゃないですか。特に脱ぐ女はしゃべるんです。なぜなら理由があるから。

博士 ほおお。「脱ぐ女はしゃべる」って法則があるんだ。

松尾 だからまったくしゃべらないというのは、隠したい理由があるからで、今の子たちは、すごいしゃべりたがっているんだけれど、現場でしゃべらせてもらえないのが普通のAV。要するにお前の話はいらねーよと。設定があってハードなことをやってくれとか、人妻になってやってくれとか。だから俺はしゃべりたがっている女の子たちを呼んで、面接して、この子は面白いなという子を撮ってますね。そういうのはAVでしか撮れないから。AVはセックスシーンが必ず入るじゃないですか、セックスシーンとおしゃべりのシーンで「理由」がちゃんと収録できるから。その子にも、もしかしたらAVのファンにも納得してもらってないかもしれないけど、そして何年か後にはその子にとって嫌なことになっちゃうかもしれないけど、今この時点でこの仕事をやっている「君」を残しておきたいなというのがありますね。

★(2)へつづく

水道橋博士(すいどうばしはかせ)
1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、87年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。90年のテレビ朝日「ザ・テレビ演芸」で10週連続勝ち抜き、92年テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。著書に『はかせのはなし』『藝人春秋』他多数。

カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
1965年愛知県生まれ。87年にAVメーカーのV&Rに童貞のまま入社。翌88年、監督としてデビュー。2003年に自ら「HMJM(ハマジム)」を立ち上げ、社員監督として活躍している。代表作はハメ撮りを駆使した『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール』『劇場版BiSキャノンボール』が社会現象といえるほどの一大ブームになった。

しみけん
1979年千葉県生まれ。男優歴19年、経験人数9000人、年間500本の作品に出演する、日本のAV業界におけるトップ男優。ゲイ雑誌「Badi」でグラビアデビュー後、「ザ・ナンパミラクル」シリーズで一躍有名になる。地下クイズ王としても名を馳せる。著書に『SHIMIKEN's BEST SEX 最高のセックス集中講義』『AV男優しみけん 光り輝くクズでありたい』がある。

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2017年5月29日 発売

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