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おばあちゃんとかデブとかブスとかに興奮しちゃうんですよ 水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(3)

おばあちゃんとかデブとかブスとかに興奮しちゃうんですよ 水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(3)

2017/05/28

高橋しょう子からイネヨネまで。男優は逞しく

松尾 乗っかってみないとということね。

博士 たかしょー(元グラビアアイドルで人気セクシー女優の高橋しょう子)ともできるし。

しみけん かと思えば、イネとヨネの双子のおばあちゃんが来たりもするし。そこの温度差が楽しいですよね。男優は逞(たくま)しくないと。

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松尾 あのさ、男優も人それぞれだと思うけど、相手がよけりゃいいじゃん。でも仕事だと相手がさ、うん? というときもあるじゃない。男優の立場としては、そういう時しみけんは相手に左右されないようにどうやってるの?

しみけん ぼくはおばあちゃんとか、デブとかブスとかくると興奮しちゃうんですよ。

松尾 そうか―それは強いよね。逆にこんなブスが? というのも絶対あるし、こいつ絶対芯入ってないっていうのもあるじゃん。

しみけん ありますあります。逆にそれも興奮します。芯入ってないのに、ぼくヤレてると思うじゃないですか。

松尾 ああー。

しみけん 芯入ってたらやれるのは当たり前ですから。でもまったく底上げもせずに最初からすごいエンジン積んでるタイプっているじゃないですか。容姿端麗でやる気マンマンで、っていうのが逆にぼくだめです。唯一、完全無比な女の子はだめですね。

男優、監督、芸人それぞれのAV観は奥深い。

松尾 俺もね、入れ乳している子とか整形している子とか嫌いじゃないんですよ、なんでいじっているんだろうこの人、とか思って。車もなんで車高あげたりホイル履かせたりしてるんだろうってなる。やっぱりコンプレックスだと思うんですよ。そういうところを含めると、なんか素の状態よりもちょっとあがっていたほうが、違うほうが面白い。インタビューでは素を出せって言っているから、絡みに関しては矛盾しているんだけど。

博士 そうなの。この人盛り乳しているんだとか、ここ改造しているんだとかさ、なぜするんだという興味がぐっと湧くのは、俺が芸能でずっとやっていることなんだよね。こんな華美な洋服を着て踊ったりして、この人は何のために人を喜ばせているんだろう、芸能ってなんだろうとずっと考えていたから、決して、そういう変身、改造が、悪かろうではなくてそれが面白いの。人間ってなんだ、華美な格好をして、素の自分じゃないものまで装いながら、かぶきたい、人を笑わせたい、人に見せたいという人間の欲求はなんなんだ、と。それを観察して、過剰な欲求を笑っているのが俺たちなんだよ。

松尾 ヅラにしろ整形にしろ、変えていたってよく見ればわかるじゃないですか。わかってしまうのにそれを乗りこえてまでやるという精神性が相当じゃないとだめで、それがなんだろうという興味がある。

博士 マツコ・デラックスなんかは、人と違うというところの異形さを見せて笑われることで、今やメインロードをいっているわけじゃん。それで理路整然と明晰なことを言っていて、そこが芸能として成り立っているからこそ、テレビの需要がある。そんなことを間近で観察しているっていうのが、俺がやっている職業なんだよね。それは面白いね。

水道橋博士(すいどうばしはかせ)
1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、87年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。90年のテレビ朝日「ザ・テレビ演芸」で10週連続勝ち抜き、92年テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。著書に『はかせのはなし』『藝人春秋』他多数。

カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
1965年愛知県生まれ。87年にAVメーカーのV&Rに童貞のまま入社。翌88年、監督としてデビュー。2003年に自ら「HMJM(ハマジム)」を立ち上げ、社員監督として活躍している。代表作はハメ撮りを駆使した『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール』『劇場版BiSキャノンボール』が社会現象といえるほどの一大ブームになった。

しみけん
1979年千葉県生まれ。男優歴19年、経験人数9000人、年間500本の作品に出演する、日本のAV業界におけるトップ男優。ゲイ雑誌「Badi」でグラビアデビュー後、「ザ・ナンパミラクル」シリーズで一躍有名になる。地下クイズ王としても名を馳せる。著書に『SHIMIKEN's BEST SEX 最高のセックス集中講義』『AV男優しみけん 光り輝くクズでありたい』がある。

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水道橋博士(著)

文藝春秋
2017年5月29日 発売

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