1月15日、第162回芥川龍之介賞と直木三十五賞(いずれも日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は古川真人さん(31歳)の「背高泡立草(せいたかあわだちそう)」(「すばる」2019年10月号掲載)、直木賞は川越宗一さん(41歳)の『熱源』(文藝春秋)がそれぞれ選ばれた。
古川さんは前回に続いての候補入り
古川さんは1988年生まれ。第一薬科大学付属高等学校卒。2016年「縫わんばならん」で第48回新潮新人賞を受賞しデビュー。「縫わんばならん」(「新潮」2016年11月号)、「四時過ぎの船」(「新潮」2017年6月号)、そして前回の第161回芥川賞での「ラッコの家」(「文學界」2019年1月号掲載)に続く4度目の候補入りだった。
川越さんは2作目で受賞
川越さんは1978年生まれ。2018年に歴史小説『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞してデビュー。当時、川越さんはカタログ通販会社に勤めており、「小説を書きたいと思っていたわけではありません。でも、5年前に沖縄の首里城を訪れたとき物語が浮かび、頭から離れなくなってしまったんです」と取材に語っていた。
受賞作となった『熱源』は2作目だった。同作品は、第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞にも選ばれている。
■第162回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)※作者五十音順・敬称略
木村友祐「幼な子の聖戦」(すばる 11月号)
髙尾長良「音に聞く」(文學界 9月号)
千葉雅也「デッドライン」(新潮 9月号)
乗代雄介「最高の任務」(群像 12月号)
古川真人「背高泡立草(せいたかあわだちそう)」(すばる 10月号)
■第162回直木三十五賞 候補作(出版社)※作者五十音順・敬称略
小川哲『噓と正典』(早川書房)
川越宗一『熱源』(文藝春秋)
呉勝浩『スワン』(KADOKAWA)
誉田哲也『背中の蜘蛛』(双葉社)
湊かなえ『落日』(角川春樹事務所)