欧米の知識人たちが注目する「間の文化」とは?
「一神教は、神様は一つ。上にいて見えない。そのことを信じている人たちの集まりなので、人と人との接着剤は上にある。でも仏教は、もともとあの世はなくて、人と人の『間(あいだ)』を調和させ、つかさどるものでした。
(京都学派の)西田幾多郎は、この『間』に着目して『間の文化』を提唱しました。日本には、どっちともつかないような、あるいはどっちでもあるような『間』を重んじる文化があると言ったのです」
欧米の知識人たちは今、この「間の文化」に新鮮さや自由、さらには開放感を感じているようだという。そして山極氏は、この「間の文化」にこそ、最近の日本人のノーベル賞ラッシュの要因もあるのだと語る。
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「どちらでもない」あるいは「どっちでもある」という、あいまいな考え方と科学の世界はいかにも相性が悪そうだが、一体どんな関係があるのか……山極氏の論考「ヒトは再び遊動生活をはじめる」(「文藝春秋」2月号および「文藝春秋 電子版」に掲載)は、「なぜ若者はモノを買わないのか」にはじまり、「どうして京大からノーベル賞受賞者が出るのか」まで縦横に論じる。霊長類学、人類学からみたヒトのさらなる進化の面白さを感じることができる一篇だ。
ヒトは再び遊動生活をはじめる
【文藝春秋 目次】「消費税ゼロ」で日本は甦る<政策論文>山本太郎/<総力特集>2020年の「羅針盤」/わが友中曽根康弘 渡辺恒雄
2020年2月号
2020年1月10日 発売
特別定価980円(税込)