「テレビはつまらない」「テレビ離れ」など、テレビにまつわる話にはネガティブなものが多い。
しかし、いまなお、テレビは面白い!
そんな話をテレビを愛する「テレビっ子」たちから聞いてみたいというシリーズ連載の4人目のゲストは、元フジテレビのアナウンサーで現在はフリーとして活躍する八木亜希子さん。
報道や情報、音楽、トーク、バラエティ番組はもちろん、朝ドラや大河といったドラマまで、あらゆるジャンルのテレビ番組に出演している「テレビの申し子」と言っても過言でない存在です。
第2回は、フジテレビ時代にかかわった番組や、クリスマスの風物詩『明石家サンタ』で共演する明石家さんまさん、『笑っていいとも!』でのタモリさんら、共演者たちにまつわる話をお伺いしました。
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有賀が「F1」、景子が「ニュース」、私が「笑っていいとも!」
―― 初めてついたレギュラー番組は『笑っていいとも!』ですか?
八木 そうですね。木曜日のテレフォンアナウンサー(「テレフォンショッキング」で翌日のゲストに電話をかける役割)でした。同期の有賀(さつき)は、車のA級ライセンスを持っていたり、F1が好きだったので『F1中継』の担当。(河野)景子が、どアップでニュースを読む『ショットガン』っていう短いニュース番組があったんですけど、どアップに耐えられるのは景子くらいしかいないからその番組の担当。で、私は最後に「八木君も何かあったほうがいいと思って」って部長に言われてテレフォンアナウンサーになったんです。
―― 同期はその有賀さつきさん、河野景子さん?
八木 あと男性アナウンサーの青嶋(達也)君ですね。
―― エース級がそろってますよね。
八木 あら、ありがとうございます(笑)。あの時代、ちょうどアナウンサーも売り出そうというような流れだったんでしょうね。自分はどれが常識か分からないで入ってるから、何が珍しくて何が珍しくないことなのかもよく分からないままにお仕事してました。
―― 『いいとも』でタモリさんから言われたことはありましたか?
八木 タモリさんって特別何か言ったりする方じゃないんです。淡々としてらして。一番最初にひとりでテレフォンアナウンサーとして出た時に、電話やタレント名鑑を置いた台をガラガラって押して出て行くんですけど、緊張しすぎて「よろしくお願いします」って、ステージの真ん中まで来ちゃって、タモリさんに「出すぎだよ、お前」「おとなしい顔してなんてやつだ」みたいに笑われたのは覚えてます(笑)。
―― 新人で緊張する仕事というと『27時間テレビ』のエンディングでスポンサーの名前を読む「提供読み」があると思うんですけど。
八木 そうですね。やっぱりスポンサーなので緊張します。新人の時、まず教えられるのが、「一番間違えてはいけないのは、スポンサーの名前だ」ということ。スポンサーあっての民放です、ということは口酸っぱく言われるんです。で、最初の仕事が「提供読み」なんです。
たとえば『花王』なら、当時「清潔で美しく健やかな毎日をめざす『花王』」って言うんですけど、たとえばそれを7秒で読むとしたら、最初の4秒で「清潔で美しく健やかな毎日をめざす」は早口めに言って、最後の3秒で「花王」って企業名はゆっくり言うとか、細かく決まってるんです。
―― へえ! それは想像以上に大変ですねえ。
八木 今言った秒数は正確じゃないと思いますが。