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「韓国ビールじゃ物足りない」と自虐する韓国人がそれでも日本のビールを買えない理由

韓国を支配する“空気”の研究――不買運動編

2020/01/23
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「韓国ビールは爆弾酒製造用」と自虐する韓国の知人たち

 韓国の知人たちは「韓国ビールは爆弾酒製造用」などと自虐的に語る。韓国ビールに、韓国焼酎を混ぜて飲むと確かにコクが出て美味しい。私が習った爆弾酒「ソメ(ソジュ〈焼酎〉+メクチュ〈ビール〉=焼酎のビール割り)」の製造法は、まず焼酎用の小さなショットグラス2杯を重ねる。そして2杯のグラスが重なった部分まで焼酎を入れる。その焼酎をビールグラスに入れ、さらに韓国ビールを加える。こうすると濃すぎず、薄すぎずの絶妙なソメができあがる。大体2人で、焼酎の小瓶1~2本が空く程度にソメを飲んだ。私は、酒量が過ぎると翌日、頭が痛くなり、原稿書きに支障が出るのだが、なぜかソメの場合は悪酔いせず、大いに愛飲した。

 しかし、こういうおっさん臭い飲み方は、韓国の若い人はやらない。若い世代を中心に、「焼酎よりビールやワイン」という酒文化が広がり、それが「韓国ビールじゃ物足りない」という流れになって、日本製ビールの人気につながった。

 私が特派員をしていた2010年前後は、アサヒビールを見かけるぐらいだったが、その後、キリンやサントリー、サッポロなどに加え、日本のクラフトビールも時折、レストランなどで見かけるまでに普及した。

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プレモル500ミリリットル缶が4本で1万ウォン(約880円)

 そして、比較的高価な日本製ビールは従来、サントリーのザ・プレミアム・モルツ500ミリリットル缶が4本1万ウォン(約880円)、サッポロのヱビス500ミリリットル缶が3本9900ウォンといった「サービス価格」で販売されてきた。

 これは韓国の独特な販売スタイルを利用したようだ。韓国ではコンビニや大手スーパーなどで、清涼飲料水やアイスクリーム、スナック菓子などを中心に「1プラス1」や「2プラス1」という売り方をしている。「1個あるいは2個買ったら、もう1個を無料サービス」という販売形態だ。韓国の知人は「韓国人はオマケが好きだから」と説明してくれるのだが、消費を刺激する効果は確かにありそうだ。

 では、一体今はどうなっているのだろうか。ビールを販売している付近のセブンイレブンをぐるりと回ってみた。