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「まえだっち」と「横田さん」 それぞれの新宿潜入

「週刊文春」6月8日号 最新レビュー

2017/06/03
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「ユニクロ潜入一年」の横田さん、カジュアルな着こなしで登場

 ドンキからわずか数百メートルの場所にあるビックロ、ここで働いていたのが横田増生である。そう、「ユニクロ潜入一年」(昨年12月8日号)のジャーナリストだ。

©杉山秀樹/文藝春秋

 今週の「阿川佐和子のこの人に会いたい」はその横田増生がゲスト。誌面には、ボーダーのシャツを着こなす横田さんと阿川さんのツーショット写真が載る。このカジュアルを着こなし、軽い笑みを浮かべる姿を見れば、なるほどと思う。なにがなるほどなのかといえば、若者の多いアパレルの接客業のアルバイトに、50代にして採用されるのも納得なのだ。ちなみに「ユニクロ潜入一年」には、「髪を入念に染め、若者向けのメガネをかけ、小ざっぱりしたカジュアルウエアに身を包み」、面接におよんだとある。

 潜入するにはバイトの面接に受からねばならない。しかし横田さんは、身なりや笑顔では解決できない、根本的な問題を抱えていた。名前である。なにしろ『ユニクロ帝国の光と影』の著者、悪名高き人物なのだから。

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「私は、まず法律に則って名字を変え、『横田増生』をペンネームとした」。「ユニクロ潜入一年」にはこうある。取材のために名字を変えた。その覚悟に世の中は驚いた。今回、その際のエピソードが阿川さんに聞き出される。

《横田 だから面接を受ける前に名前を変えたんです。どうやって変えたかというと、妻と離婚して、妻と再婚しました。
阿川 へ? どういうことですか?
横田 要するに離婚と再婚をすることで妻の姓に変えたんです。偽名を使うのではなく、きちんと法律に則って。》

 こうして堂々とユニクロに潜入し、「レジの所だけ、空気が薄いよね」などと会話が交わされるユニクロの影、闇の奥を取材するのであった。

「まえだっち」と「横田さん」 それぞれの新宿潜入

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