警察は知的障害のある息子を呼び出し……
16年7月に被害に遭った80代の女性Aさんは、警察に被害届を出して受理されたが、昨年4月、宮崎地検は伐採業者など5名の被疑者を不起訴にした。
「地元の高岡警察の警部補らは、被害者であるAさんを呼ばず、60代の長男を呼び出して話を聞いていました。宮崎地検の副検事によれば、その調書には、長男が植林を希望し、示談を求めたかのように書かれていたため、不起訴になったようです。
しかし長男は知的障害があり、重度心身障がい者医療費受給資格者証を持っています。知的能力は小学生程度で、植林という言葉を知らず、漢字も読めない。今、調書の閲覧を求めているところです」(海老原さん)
昨年7月、「盗伐」で初めて逮捕者が
被害者の会の活動が実を結びはじめ、昨年7月、森林法違反(森林窃盗)で伐採業者が初めて逮捕された。この伐採業者は県のお墨付きを得た“優良事業者”で、補助金を得て高性能重機を購入していた。その重機で盗伐していたのだ。
伐採業者は法廷で、過去20年間で10件程度の無断伐採があったことを認めたが、「誤伐だった」と主張した。昨年12月、検察は懲役1年6カ月を求刑し、現在判決待ちである。しかし起訴内容は、2カ所で杉20本(時価21万5000円)を盗んだ容疑でしかなく、有罪判決が下っても執行猶予が付くのは確実だ。
当初12家族だった被害者の会は3年間で100家族まで増え、今も新たな被害が次々と判明している。被害は一家族あたり数百本、多い時には1000本を超え、被害者の会だけで約4万本が盗伐された。それでも氷山の一角という。
宮崎県では、盗伐されて地盤が弱くなった森林が簡単に土砂崩れを起こし、森林の下に広がる田畑や溜め池、国道、そして周辺の民家へ土砂が流入する2次被害が多発している。
あまり知られていないが、