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「一歩一歩、獰猛に」ジェフ・ベゾスの宇宙開発とは?

 ジェフ・ベゾスは1964年生まれの53歳。もはや私たちの生活の一部になったネット通販のAmazon.comの創業者で、ワシントン・ポスト紙のオーナーも務める。

ジェフ・ベゾス ©Blue Origin

 ベゾスが「ブルー・オリジン」という宇宙企業を立ち上げたのは、スペースXよりも2年早い2000年のことだった。彼もまた「人類が宇宙に進出し、活動の場とするため」という目標を掲げ、そのためにはNASAに頼らず、自分たちでやるしかないと考えた。

 もっとも、ベゾスはあまり表舞台に立たず、その言動もあまり明らかになることはない。講演会やシンポジウムに積極的に登壇したり、Twitterで開発中のロケットの情報を小出しにしたりするマスクとは対象的である。

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 ブルー・オリジンもまた、ベゾス同様にやや秘密主義なところがあり、何を目的に、どんなロケットを造っているのかということは、長い間謎に包まれていた。しかし、同社は「Gradatim Ferociter」(ラテン語で「一歩一歩、獰猛に」)というモットーを掲げ、スペースXのような高性能かつ低コストなロケットの開発を、着実に進めていることが徐々に明らかになった。

影も形もない大型ロケット「ニュー・グレン」はすでに受注競争に

 現在は、短時間ながら誰でも宇宙観光が楽しめるロケットと宇宙船を開発。試験飛行を繰り返しており、数年以内にサービスを始めると予告されている。

 またそれと並行して、人工衛星を打ち上げられる大型のロケット「ニュー・グレン」も開発しており、2020年の打ち上げを目指している。性能はスペースXのファルコン9などと同じくらいで、運用が始まれば打ち上げ市場で両社がライバルになることは間違いない。

 実は、まだニュー・グレンは影も形も存在していないにもかかわらず、同社のもつ技術力への信頼や、低コスト化への期待などから、すでにいくつかの企業から打ち上げの受注を取り付けている。受注をめぐってはもう競争が始まっている。

ジェフ・ベゾスの宇宙企業ブルー・オリジンが開発している「ニュー・グレン」ロケットの想像図  ©Blue Origin