「テレビはつまらない」「テレビ離れ」など、テレビにまつわる話にはネガティブなものが多い。
しかし、いまなお、テレビは面白い!
そんな話をテレビを愛する「テレビっ子」たちから聞いてみたいというシリーズ連載の5人目のゲストは、新日本プロレス所属のプロレスラーである獣神サンダー・ライガーさん!
テレビ創世期を代表するヒット番組が力道山のプロレス中継であるように、プロレスとテレビは切っても切り離せない関係。
自身も、大の特撮好きで知られ、プロレスのみならずバラエティー、ドラマに出演されるなど、もっともテレビに愛されるプロレスラーのひとりであるライガーさんに、まずは子供の頃のテレビ体験や、プロレスラーになるまでを、新日本プロレス道場内にあるライガーさんの部屋で伺った。
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人を救うウルトラマンよりも、人間を追いかける怪獣が好き
――お邪魔します……。
ライガー どうぞ、座って座って。足くずして。
――失礼します。僕にとってライガーさんは子供の頃からのヒーローなので、ちょっと緊張しているんですけど……。ライガーさんといえば、特撮ファンで有名ですが、それは子供の頃からですか?
ライガー 子供の頃、僕の家はまだ白黒テレビだったんですよ。それで『ウルトラマン』のペスターという怪獣が出てくる回を見たのが印象に残ってますね。僕らが子供の頃というのは、ミニカーとか、車、戦車関係にはしるか、怪獣にはしるか、その2つだったんです。僕はもう怪獣の方にいってましたね。
――幼稚園の頃くらいですか?
ライガー そうですね。親戚のおじちゃんがバルタン星人のソフトビニールのおもちゃを買ってくれたりした記憶が残っていますので。本当に子供の頃から怪獣でしたね。ちょっとずれて『仮面ライダー』も見てたんですけど、そこまでのめり込まないで、やっぱり『ウルトラ』でした。
――ヒーローの方にはいかずに、怪獣なんですね?
ライガー 怪獣でした! 映画で『東宝チャンピオンまつり』みたいなのがあったりしましたけど、それもゴジラと、対戦相手のキングギドラとか。対戦相手が好きでしたね。
――どういうところに惹かれたんですか?
ライガー やっぱりね、子供って残酷なところってあるじゃないですか。虫の頭をピッて取ったりとか(笑)。そういう破壊する強さ。それで子供心に、先生とか大人の人っていう強くて怖い存在も怪獣がギャーって出たら逃げ惑う。それが快感だったんじゃないですかね。要は僕がひねくれてるんですよね。そういう人たちを救うウルトラマンとか、ウルトラセブンよりも、人間を追いかける怪獣が好きなんです。
――周りの子たちと、そういう遊びとかはしたんですか。
ライガー 怪獣ごっこはしましたね。あと怪獣とは全く関係なく、うちの近所に皿山と江波山ってあったんですけど、そこに段ボールで基地作ったりとかして。わざわざそこに漫画を持って行って読むんですよ。家で読めばいいのに(笑)。そういうのを作ったりとかして遊んでいましたね。お菓子を持って行ったりもね。
園芸部から一転、プロレスへ導いてくれた藤波辰爾の衝撃
――特撮以外では、どういったテレビとかを見ていたんですか。
ライガー あとはアニメですね、『ハクション大魔王』とか『ゲゲゲの鬼太郎』とか。アニメを観てました。オタクですから。
――小学生になっても特撮熱って冷めなかったんですか。
ライガー 冷めなかったですね。でも、小学校6年生くらいの時にプロレスと出会って、それで一切捨てて、プロレス一筋っていう風になったんです。元々動物園の飼育係とか農業関係の仕事をしたいと思ってて。当時は園芸部だったんですけど、植物を育てるというのからもちょっと身を引いて。ちょうど藤波辰爾さんがチャンピオンとして、雑誌の表紙になったんです。その衝撃がすごくて。『マジンガーZ』とか、『グレートマジンガー』とかも観てましたけど、特撮だったりアニメだったりからはちょっと離れて、家のポスターも全部プロレス。
――あー(笑)。プロレスはテレビで観てたんですか?
ライガー 当時プロレスは金曜夜8時だったので。ちょうどタイガーマスク選手が出る2~3年前くらいからですね。それまではそんなにプロレス、プロレスって観てなかったですけど。