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中学の頃からマスクマンに憧れていた理由が、その時にわかりました

――試合ではテレビだからというような意識をされたりとかしました?

ライガー いや、リングにあがったらもうそういうのないです。広島のばあちゃんとか、お母さんとかも、弟とか、親父もそうですけど観てくれるだろうなとは思いましたね。あの当時も金曜の8時でしたからね。そういうのも嬉しかったですね。家族に対して頑張ってます、みたいな。

――実際に放送されたのを観ましたか。

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ライガー 観ましたが、僕だめなんですよ、自分の顔が! 一発でやられました。なんだこりゃと思いました。いやぁ、酷かったですねえ。

――試合内容じゃなくて顔が?(笑)

ライガー 中学の頃からマスクマンに憧れていた理由というのが、その時にわかりましたね。あ、俺自分の顔をブサイクって認識してたんだって(笑)。これを隠したかったんだって。それくらい自分の表情が嫌だったんですよ。喜怒哀楽が出てお前いいなって、色んな方から言われたんですけど、僕自身ものすごく嫌でした。それから自分が載っている雑誌とかもあんまり見られなくなりました。

 

――それでは、元々アニメのキャラクターであるマスクマンになると決まったときは、嬉しかったでしょうね?

ライガー 当時はイギリスにいたんです。会社から電話がかかってきて。「お前、マスクマンやってみるか?」って。そんなもんね、もうデビューした時からマスクマンやりたかったって! 「やります。ぜひやらせてください」って言って、二つ返事ですよ。

マスクしてても、喜怒哀楽がわかるからすごいねって

――僕は小学校5年生くらいで、アニメの『獣神ライガー』を観てたんですよ。土曜日の夕方で、僕の地域は『ライガー』の直後に『ワールドプロレスリング』が放送されてて、何も知らずになんとなく見ていたらいきなりライガーが出てきて「わー!」ってびっくりして、そのまま夢中になったんです。

ライガー あの全くツノも何もないやつ。

――そうです!(※当初アニメの進行に合わせてマスクのデザインが変わっていった) そのマスクのデザインを見た時ってどうでした?

ライガー いや、そのマスクのデザインもそうですけど、全身タイツなんですよね。はぁ? って思って。どうすんだって(笑)。会社から「これね」ってデザイン画を渡されて終わりですよ。あとは自分でなんとかしなさい、みたいな。無理だろう! って。頭から毛は出てるし、全身フルコスチュームだし。生地の耐久性なんて一切何もないんですよ。しかも、4月の東京ドームでデビューだったんです。あと1か月もない。なんとか間に合わせろ、みたいな。それでマスク作っているようなところへ行って、このデザインで作ってくださいと。そこから全部体を測って、生地をどうしようかというところから相談して。特に全身タイツだから、レオタードの強めの生地にしたらどうかとか。マスクも試行錯誤しました。頭から毛が出てるから、なんかトウモロコシみたいになった(笑)。

――あはは(笑)。

ライガー メキシコには額のところで水平になってるマスクがあるんですけど、それだと髪の毛は出るけど、おでこの地肌が見えてかっこ悪い。それで斜めにしちゃおうと。でも斜めにしてたら、動いてるうちにペロンペロンってめくれちゃう。じゃあそうならないように、ベルトで留めて、紐のところに結び付けて……って試行錯誤して。それで今のライガーというか、自分の毛を出すライガーのスタイルが出来上がったんですけどね。

――「ライガー」としてのデビューは即注目される形だったと思うんですけど、それまでのテレビ中継と気持ちは違いましたか?

ライガー もう、顔は出ないから。それが最高ですよね(笑)。自分の顔がホントに嫌なんですよ。「男梅」って知ってる? あんなんよ! あんなに眉毛太くないけどね。もう男梅みたいな顔だから、嫌なんですよ。だからね、隠したかった。今は隠れてるから最高に幸せです。

――幸せ(笑)。

ライガー もうリングに上がるの楽しいもんね。マスクマンになれてよかったですよ。

――でもライガーさんは、一番表情が豊かなマスクマンだと思うんです。

ライガー そう言っていただくのはすごく嬉しいです。マスクしてても、ライガーとしての喜怒哀楽がわかるからすごいねって。褒め言葉としては嬉しいですけど、僕としてはまず顔が出ないことが第一なので(笑)。

 

獣神サンダー・ライガー/89年4月24日、東京ドームでの小林邦昭戦で獣神ライガーとしてデビュー。5月25日、馳浩を下して第9代IWGPジュニアヘビー級王座を初奪取。以降、同王座には歴代最多となる11度の戴冠を誇る。90年1月に獣神サンダー・ライガーに改名。IWGPジュニアタッグ(戴冠6回)やジュニア8冠王座など、国内外の団体問わず数多くのベルトを獲得。現在も“世界の獣神"として、絶大な人気を誇る。得意技はロメロ・スペシャル、垂直落下式ブレーンバスター、掌底、ライガーボム、空中胴締め落とし。170cm、95kg。

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写真=白澤正/文藝春秋