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「官邸は絶対やると言っている」

萩生田光一 官房副長官
「官邸は絶対やると言っている」

NHK『クローズアップ現代+』 6月19日

萩生田光一官房副長官 ©山元茂樹/文藝春秋 

 安倍首相が記者会見を開いた19日の夜、NHKの情報番組『クローズアップ現代+』が文科省内で作成された新たな文書の存在をスクープした。「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題された文書は、首相側近の萩生田光一官房副長官が文部科学省の常盤豊高等教育局長に伝えた内容を記したもの。翌20日には文科省が、調査により同じ内容の文書が存在したことを公表している。

 萩生田氏は、09年からの落選中、加計学園グループ傘下の千葉科学大学で客員教授を務めていたことが知られている。また、13年には首相の別荘で加計孝太郎理事長らとバーベキューを楽しんでいた。自身のブログには、加計氏、安倍首相との3ショットの写真がアップされている。

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「私は総理と近いし」

 新たに見つかった文書には、萩生田氏の発言として「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」などと記されていた。首相の意向として開学時期まで踏み込んだ発言をしていたとなると、「働きかけは一切ない」としてきた首相の答弁がひっくり返ることになる。

 ただし、松野博一文科相は、「副長官の発言でない内容が含まれている」と語り、萩生田氏に「大変迷惑をかけた」と陳謝したことを明らかにした。松野氏は首相官邸を守るため、いろいろなところに謝っている。萩生田氏は「加計学園に関連して、首相からいかなる指示も受けたことはない」として文書の内容を強く否定した(朝日新聞 6月21日)。『週刊文春』の取材に対しても「私は総理と近いし、加計学園グループの教授もやっている。ターゲットにしやすいのでしょう。しかし総理からいかなる指示を受けたこともありません」と反論している(『週刊文春』 6月29日号)。

 いずれにせよ、加計学園問題はまだ終わっていないことは確かだ。「真摯に説明責任を果たしていく」「丁寧に説明する」と安倍首相が言ったからには、有言実行しなければならないだろう。

籠池泰典 森友学園前理事長
「民主主義の国家ではありえない。独裁主義国家でやられている方法。総理は考え違いをしている」

BuzzFeed NEWS 6月20日

証人喚問での籠池氏 ©共同通信社

 加計学園問題だけではない。森友学園問題も依然として燻っている。6月19日夜、安倍首相の記者会見直後、補助金を不正に受給した疑いで、籠池泰典氏が大阪地検特捜部の家宅捜索を受けた。

 籠池氏は捜査について「最大限協力していく」としたが、首相会見終了とほぼ同時に始まった家宅捜索については「あまりにもひどいのではないか。戦前の特別高等警察を連想させる思いであります」と怒りを露わにした。また、自身の置かれた状況については「トカゲの尻尾切り」と表現している。

「私のほうなんぞは安倍昭恵夫人を名誉校長にさせていただいていたのに、トカゲの尻尾切りをされている。私だけじゃなく、加計学園でも(前川前)次官を社会通念上悪者だとしているやり方は、民主主義の国家ではありえない。独裁主義国家でやられている方法。総理は考え違いをしている」

「なぜ父だけが呼ばれ、加計孝太郎理事長が呼ばれないのか理解できない」

 籠池氏の長男、佳茂氏も『週刊新潮』の取材に対してストレートに怒りをぶつけている。

「だいたい、国会の証人喚問にしても、なぜ父だけが呼ばれ、加計孝太郎理事長が呼ばれないのか理解できない。父は昭恵夫人との関係を追及されましたが、加計さんの場合は安倍総理その人との関係です。投じられた税金の額も、うちとはケタが違う。なのに、加計さんは一度も説明責任を果たすことなく、ずっと雲隠れをしたままです」

 安倍首相から「私の考え方に非常に共鳴している方」「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いている」と絶賛され、「安倍首相ガンバレ! 安倍首相ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです」と園児たちに言わせて悦に入っていたら、いつの間にか「トカゲの尻尾切り」されていた籠池ファミリー。身から出たサビとしか言いようがないが、国会の証人喚問などで説明責任だけは果たそうとしていた。次に説明責任を果たさなければいけないのは、誰?