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2017/07/03

ど素人顧問に容赦ない保護者

 ましてや部活動ともなると、素人の教員が多い。さすがに授業については教員の専門性が高いから口出しできないとしても、部活動となると容易に口出しできてしまう。3月の拙稿「ど素人でも顧問。『部活がつらい』先生の体験談」で紹介した先生も、その一例である。

 その先生は、異動をきっかけに未経験のバスケットボール部を担当することになり、そこで保護者からの厳しいクレームが届くようになった。

 試合で負けたときに、子どもを迎えにきた保護者が自分に近づいてきて、普段の練習メニューについて忠告をしてきた。そしていつの間にか、練習や試合時には、生徒に対して「そこはパスだろうが!」「そんなこともわからんのか!」と、直接声を発するようになった。

 保護者との関係がギクシャクするようになり、その保護者に同調する保護者も増えていき、「部活動をやめさせて、ジュニアチームに入れてもいい」と、脅しともとれる言葉を受けるようになった。ついには体調を崩すようになり、教員人生ではじめて、「部活がつらい」と感じた。

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理解されない負担感

 上記の例は、素人顧問の指導方法に対する、容赦ないクレームである。

 だがクレームは、指導方法に対するものだけではない。練習量に関するクレームも多い。とりわけ土日の練習をやめようとしたときの保護者からの反発は、定番である。「なぜちゃんと指導してくれないんですか」「子どものことを大事に思わないんですか」「前の先生は、土日に関係なく指導してくれたのに」と、厳しい言葉を投げかけられる。冒頭で紹介した先生も、負けたときには「練習量が足りないからだ」と保護者からのクレームが入ると述べている。

図 「顧問教員の負担が大きすぎる」と答えた者の割合(神奈川県調査)
※出典:内田良『ブラック部活動―子どもと先生の苦しみに向き合う』(東洋館出版社、7月下旬刊)

 神奈川県教育委員会が2013年に実施した運動部活動に関する調査(「中学校・高等学校生徒のスポーツ活動に関する調査報告書」)では、保護者が思っているよりはるかに、教員は部活動指導を大きな負担と感じている。教員の負担感は、なかなか保護者には伝わっていないようである。