文春オンライン

ブラック部活動 保護者は敵か味方か

2017/07/03

職場、生徒、親に責められる教師

 連日のように、部活動改革関連の記事が発表されている。

 とりわけ教員(顧問)に課せられる負担をはじめ、その過酷な状況は「ブラック部活動」と総称されている。

 先日公開されたウェブニュース記事にも「『ブラック化』した部活の実態」が掲載されていた。「ブラック」を経験したある先生の言葉は、次のようにまとめられていた。

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《「なぜ部活動を熱心にやらないのか」と言う職場の同調圧力、「もっと練習を入れて欲しい」と希望する生徒、負ければ「練習量が足りないからだ」と言う保護者からのクレーム…。気づけば部活動に多大な時間と労力が割かれて、しわ寄せは家庭にいった。》

弁護士ドットコム「『なぜ部活を熱心にやらないのか』教員への強烈な同調圧力…土日潰れ、家庭は崩壊」

 じつはここに、部活動改革においていまだ注目されていない、けれども改革を推進するうえで欠くことのできない重要なファクターへの言及がある。「保護者」の存在である。

保護者からのクレーム、過剰な介入

 私が7月末に上梓する『ブラック部活動』(東洋館出版社)においても、保護者の存在をクローズアップした。

 部活動が「ブラック」である理由は、けっして先生と生徒という学校の構成員だけを見ていても語り尽くせない。

 教員が部活動指導のあり方に疑問を抱く典型的なきっかけの一つに、保護者との関わりがある。保護者からのクレームや過剰な介入が、指導への嫌悪感や指導における自信喪失を引き起こすのである。

 大学への進学率が低い時代には、学校の先生といえばその地域ではごく限られた高学歴者であった。高学歴を後ろ盾にして、保護者よりも教員のほうが、はるかに権威があった。ところがいまは、大学への進学率は50%を超える時代である。教員の権威は相対的に低下し、保護者からのクレームが学校に届きやすい状況が生み出されている。