先生の味方に付いてくれる保護者はいるのか?
しかしながら、クレームを投げかける保護者がいる一方で、教員の味方に付いてくれる保護者もいることを忘れてはならない。
現職教員らによる「部活問題 対策プロジェクト」が実施したネット署名(change.org)の「教師編」(goo.gl/5Xu4P6)のページに進むと、ページ下部のコメント欄には、生徒の保護者からの声も多く届いている。
《中学校に通う息子がいます。息子をオリンピック選手にしたいなどとは思いません。「部活は、楽しく、元気にやってくれたらそれでいい」と願っていても、実態はそれからはるかに遠く、明けても暮れても練習です。
そしてこの過酷な実態の裏には、指導にたずさわる先生がいます。明らかに、異常な勤務状況です。授業やその準備、生徒指導だけでもたいへんでしょう。それに連日の部活。もはや一人の人間がこなせる業務量ではありません。先生はみな、授業に取り組むことが本来の仕事のはずです。
私たち保護者は、子どもを有名選手にしたいのであれば、そして先生に勤務時間を超えての部活指導を望むのならば、お金を出して子どもを外に習いに行かせるべきです。先生も子どもも、笑顔で過ごせる学校現場に戻してください。》
※匿名性を確保するために、内容を一部編集した
保護者は自分の子どもが明けても暮れても練習している様子から、先生の部活動負担を心配している。そして、部活動はほどほどにして、「先生も子どもも、笑顔で過ごせる学校現場」を切望している。
上記の保護者の声は、顧問教員の負担を懸念するものであったが、一般に保護者がより直接的に不安視しているのは、自身の子どもの負担である。
まさに、「職員室のタブー」をつくりだしているような教員が、部活動に熱心なあまりに、連日にわたって子どもに多大な負荷を与えている。保護者は子どもの疲れ切った姿を見て、顧問の部活動運営に大きな疑問を抱いている。
部活動改革では、「教員」や「保護者」を一枚岩にとらえてはならない。「教員」にも「保護者」にも、過熱気味の部活動に肯定的な人がいる一方で、それに消極的な人もいる。
「教員」「保護者」というカテゴリで敵/味方を決めつける必要はない。いま求められるのは、「よきもの」として拡大・過熱してきた部活動のもとでかき消されてきた苦悩の声に、一つひとつ耳を傾けていくことだ。