さっき、防衛大臣の稲田朋美女史が、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としても(自民党候補を)お願いしたい」とかいう話をして大爆発しておったわけですよ。えっ。何でしょう、この自民党安倍政権の弛み具合。防衛大臣として、政治的行為を制限している自衛隊法を知らなかったってだけじゃなくて、稲田女史って弁護士っすよね。

稲田朋美防衛大臣 ©文藝春秋

何でしょう、この猛烈な譲り合いの精神

 都議会選挙の情勢とか見ていると、小池百合子女史の率いる都民ファーストの会はもちろん活動頑張っているし浸透もしてきているんでしょうが、小池都政への支持率は減少傾向な一方、対抗する自民党の側も森友学園だ加計学園だ稲田朋美女史だ豊田真由子女史だとエラー連発で自滅しまくっています。何でしょう、この猛烈な譲り合いの精神。このままいくと、たいして政治的に期待されてもいない都民ファーストの会の未熟な候補者50名がほとんど全員当選してしまい、次の選挙までに小池百合子女史が都知事でも降ろされようものなら2回戦で全員落選みたいなエクストリーム都議会になってしまいそうです。

 こういう政治状況を嘆いたり馬鹿にしたりするのはげんなりするんですが、これって私を含めた有権者のレベル、政治観の映し鏡である以上、吐いた唾が全部自分に返ってくるんですよね。

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 我慢して、スキルはないけど志ある政治家を育てるぐらいの度量が有権者には必要だ、とか、理想はいろいろあるんでしょうけどね、投票した政治家が部下に対して「このハゲーーーッ」って絶叫してるとか、なかなか現実はつらいものがあります。

「このハゲーーーッ」の豊田真由子議員 ©時事通信社

「うちの官庁、けものフレンズ状態なんですよ」

 で、よく政策勉強会で顔を合わせる若手文科官僚が自嘲気味に「うちの官庁、けものフレンズ状態なんですよ」と吐き捨てているのが獣医師会がらみの問題であります。今回、加計学園の獣医学部四国新設の話が出る前から、獣医師の「総量規制」が獣医師会と文部科学省のあいだで「岩盤規制」として問題視されてきていました。まあ、半世紀にわたって獣医学部が新設されておらず、ペット医ばかりが充足しているんじゃ話にならないと言われればその通りです。何をしていたんだ文科省、となじられても仕方のない状況です。国内海外の防疫関係者からも「何で日本だけこんなに大型動物の獣医師が足らんの?」「イタリア以下じゃね」みたいなことを言われておるわけですね。

前川喜平前文科事務次官 ©時事通信社

 結局、国家戦略特区諮問会議の民間議員が会見して、安倍政権に反旗を翻した文科前事務次官の前川喜平さんの「行政がゆがめられた」などの発言に反論する事態になってしまいました。要するに、官邸の忖度だ圧力だ以前に、獣医師会から長らく獣医学部の新設に反対されて話が進まないでいて、文科省は前川さんがどうとかではなくいままでずっとこの獣医師の不足や偏在の問題の解決を先延ばしにしてきたって話ですね。それを解決するために特区作るよって話なんですから、問題に対応できていない行政の横から特区ぶっ込みたいといわれると「まあそうだな」となります。ただ、この諮問会議の民間議員にはあの竹中平蔵さんとかもおられ、顔つきや経歴からしてすこぶる善良とはなかなか思えないという点で、どちらが良いかは判断がつきません。