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全員が悪人同士の権力闘争だと割り切るほうが正しい

 こういう混乱し錯綜した状況を読み解くには、誰かが絶対善、あるいは絶対悪と白黒決めて肩入れするよりは、関わっている奴ら全員が悪人同士の権力闘争だと割り切るほうが正しいと思うわけですよ。もうね、全員悪人のアウトレイジだ、ある種の蟲毒のようなものだと思うしかないのです。それも、利害関係のスケールの小ささを考えるに、動物園レベルの話だと思うんですよ。獣医師会のネタが出た分だけ、関係者が今回の一連の問題を人気アニメ「けものフレンズ」に模す理由も良く分かります。「すっごーい」みたいな。「君は獣医を増やしたくないフレンズなんだね!」みたいな。

萩生田光一官房副長官 ©文藝春秋

 あまりにも前向きではない状況で、一国の総理がたかが一桁億円の小学校の土地払い下げだ、獣医学部新設するしないだ、女性議員が暴言吐いただってネタに振り回されるというのは、ネタとしてさすがに小さすぎます。実に嘆かわしいことですし、アレを見て「ああ、我が国の首相・安倍晋三さんは立派なんだな」と思う日本人がまた一人、また一人と減っていくことになるでしょう。

権力闘争をすればするほど、みんな仲良く傷ついていきます

 傷つくのは首相や官邸、霞が関だけじゃなくて、追及しているはずの野党も、火付け役のはずのメディアも、だいたい同じようにイケてないわけです。獣医師会からお金もらってたじゃないか、つい半年前は天下り批判してたじゃないか、大新聞が官邸の言いなりになって個人の風俗通いの記事を掲載するなんておかしいじゃないか、テレビが馬鹿の小芝居を大きく報じるなんて変じゃないか。権力闘争をすればするほど、みんな仲良く傷ついていきます。

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 で、必ず「誰かまともな政治家はいないのか」ってなるんですよ。

 そして、良い政治家はなかなかいないんですよ、政治家っていうのは有権者と同じレベルなんですから。

東武動物公園に設置された「けものフレンズ」のキャラクターに恋をするペンギンのグレープくん ©時事通信社