『ライフ』はどんな「宇宙コワイ映画」なのか?
6名の宇宙飛行士が火星で発見した、ひとつの未知の細胞。しかしその生死がわからないため、宇宙生物学者はなんとか生命反応をみようと、細胞に様々な刺激を与えます。しかしそれが細胞の癇に障ったのか、息を吹き返して活動を始めた途端に、どんどんえげつない成長を遂げていきます。出発前、乗組員の検疫官ミランダが、この探索計画について上層部と取り交わした条件は、もし生命体を見つけた際に、疫病となる可能性がある場合は「地球に持ち帰らないこと」。そのため、彼らはISS(国際宇宙ステーション)内で、この凶暴な生命体を根絶するため、死闘を繰り広げることになります。
宇宙飛行士たちを襲う恐ろしい生命体や、彼らをさらなる危機に追い込む宇宙船のシステムトラブル、そしてまたもや乗員が宇宙に放り出されるトラウマ描写など、宇宙スリラーの根幹を踏まえた作品です。
その手の映画のファンにとっては、大量に見てきた馴染みのある雰囲気が漂う作品です。たとえば宇宙船ホラーの邦題とは思えない『悪魔の受胎』(79年)や、問題点が『ライフ』とじつは近そうな『溶解人間』(77年)等々……。それは『ライフ』がオールドスクールな映画ということでもありますが、こういうB級な香りのする映画こそ夏に見ないでどうする! という気もするのです。『エイリアン』の亜流として、できる範囲のことはやったお手本のような内容。そう、高級なステーキより、ビールのお供にビーフジャーキーをほとんど無意識に咀嚼したい夜もあるじゃないですか。そんな時にふさわしい、引っ張りだこの人気俳優たちが出ているお得感や、後味の悪さも厭な映画として満足感のある、オススメ作品です。