いまから71年前のきょう、1946年7月5日、ツーピースの水着「ビキニ」が、パリのファッションショーに登場した。考案したのは、自動車エンジニアだったルイ・レアールと、ファッションデザイナーのジャック・エイムの二人のフランス人である。「世界でもっとも小さい水着」としてつくられたビキニだが、プロのモデルたちはこれをいやがり、結局レアールが、カジノ・ド・パリのヌードダンサーを雇って、モデルになってもらったという(ピーター・ファータド編『世界の歴史を変えた日1001』ゆまに書房)。

ルイ・レアールとジャック・エイムが考案したビキニを着用し、パリ市内にあるプールで水着コンテストの撮影に臨む女性 ©時事通信社

 ちょうどビキニ発表の4日前、7月1日にはアメリカが「クロスロード作戦」と呼ばれる原爆実験を、中部太平洋・ミクロネシアのマーシャル諸島のビキニ環礁で行なっていた(同作戦における核実験は25日にも実施される)。水着のビキニの名は、この核実験にちなみ、新しい水着の効果が爆発的なものになると考え、エイムがつけたとされる。核爆発の実験場となった島々では、住民が強制移住させられ、その後も放射能汚染など大きな影響が残った。もっとも、エイムとレアールはそんなことはまだ知る由もなかったのだろう。

 ビキニ環礁では1954年にも、やはりアメリカにより水爆実験が行なわれ、近海で操業中だった日本の漁船・第五福竜丸の船員らが被爆するという事件も起きた。この事件の影響から、映画『ゴジラ』が生まれたことはよく知られている。日本でビキニスタイルの水着が普及し始めたのは、翌55年頃といわれる。