「文藝春秋」1月号の特選記事を公開します。(初公開 2020年1月9日)

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 沢尻エリカさんの逮捕を受け、“前代未聞”の延期が決まったNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。1月19日の放送を前に、斎藤道三役を演じる本木雅弘さんが2020年の新大河の魅力、そして今年活動休止となるジャニーズ事務所の後輩「嵐」への思いを「文藝春秋」に語った。

有働 年明け1月19日に放送されるNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で斎藤道三の役を演じられます。数あるオファーの中でなぜこの役を選んだのですか。

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本木 今回の大河は以前お世話になった「坂の上の雲」のスタッフが多くいて。彼らに「そろそろどうですか」と声をかけていただいたのと池端(俊策)さんの脚本という事が大きかった。

©文藝春秋

この歳になると誰も叱ってくれない

有働 これまで大河で斎藤道三を演じたのは、西田敏行さん、平幹二朗さん、津川雅彦さん。錚々たる役者たちが挑んだ役ですが、それぞれ本木さんとはちょっとタイプが違う役者さんが演じている印象です。

本木 司馬遼太郎さん原作の大河ドラマ「国盗り物語」(1973年)の放映から50年近くが経った現在、新たな資料により斎藤道三の「親子二代説」が通説となりました。「美濃のマムシ」と言えば、下剋上の代名詞というのはそのままに、従来一介の油売りから一人で成り上がったとされていましたが、近年の解釈だと、道三は武士の家に生まれた、ある種エリートであり、かの戦略、調略をしてのし上がっていった有能なビジネスマンでもあると。こういった合理主義で少々エキセントリックなニュー道三の像を描くために、新しい感覚でキャスティングを考えたそうです。僕もそれを面白く感じ、お引き受けしました。

有働 本木さんにとっては、98年に主演された「徳川慶喜」以来、22年ぶりの大河ですね。

有働由美子さん ©文藝春秋

本木 余談ですが、「慶喜」のとき、共演した堺正章さんが「この歳になると誰も叱ってくれない」と嘆いていたんです。当時堺さんは50代。自分がズレていたり、天狗になっていないか、そういうことに気づけなくなるのが怖い、と仰って。いま自分も50代で、偶然今回の大河でも堺さんと共演するのですが、同じように役者の中でも年上になった自分が、どう立ち回れるのかも興味があります。

有働 ただ、今回の大河については、斎藤道三の娘で後に織田信長の正妻となる帰蝶役をやられていた沢尻エリカさんが逮捕され、放送開始が遅れることが決まりました。