2月6日発売の「週刊文春」で、衝撃の文春砲が炸裂した。数々の護衛艦の艦長を歴任した海上自衛隊の1等海佐が、公務のかたわらで女性向け性風俗店を16年間にわたって経営していたというのだ。自衛隊のスキャンダルについてちょくちょく調べていた筆者も、これには驚かされた。
「週刊文春」の記事中では風俗店経営の事実を中心に書かれていて、LINE上で艦艇の航行情報やスケジュールを漏らしていた点について詳細は触れられておらず、こちらは続報を期待したい。
海上自衛官と推測可能なブログ内容
週刊文春の記事をうけ、筆者もこれら1佐のキャリアにおける重要イベントと、経営していた風俗店サイト・ブログの書き込みや営業情報と突き合わせを行うことにした。サイトやツイッターアカウントは文春記者が本人を直撃した後に削除されたそうだが、一部はインターネットアーカイブに記録されていたので、それを参照している。
なお、本稿は文春オンラインに掲載されているが、筆者は「週刊文春」の取材者とは別に動いている点は了承いただきたい。
問題の1佐は、護衛艦『やまゆき』、『まきなみ』、『こんごう』、練習艦『かしま』、補給艦『ましゅう』と、計5隻で艦長を歴任している他、司令部勤務や教育に関与している。筆者が目にした海上自衛官のキャリアの中で、ここまで多くの艦艇の艦長を務めた人物は記憶にない。過去の海上幕僚長でも、だいたい2隻くらいしか艦長を経験していない。
頻繁に更新されていた店舗ブログを見ると、企業のそれというより、中年のエロ親父のブログといった風情だ。大半が性愛(お上品な表現にした)に関するもので、中年の自慢ともつかない性愛話を読まされるのは苦痛以外の何物でもないのだが、それに混じった思い出話などから、個人情報もちらほら垣間見える。
実態は本人が1人で回していたようだ
「入省」といった公務員を匂わせる記述や、「僕の仕事は、軍隊や葬儀屋と一緒で、『無くて良いのならば、それに越したことはない』ものである」という記述から、自衛隊関係者かと推測できる人は多いと思う。また、数年に一度引っ越しを繰り返している記述や、営業場所としてよく登場する東京(横浜)、京都、広島、佐世保という地名を見れば、少し詳しい人なら海上自衛隊の幹部クラスだと推測できる。これら4都市は、横須賀、舞鶴、呉、佐世保といった、海自の拠点の近くかそのものだ。
「風俗店を経営」とされているものの、艦上勤務では長期にわたってブログが更新されないことも度々あり、営業場所が転勤と共に変わっていたところを見る限り、実態は本人が1人で回していたようだ。純粋な経営者だったら、転勤にとらわれない営業もできたのだろうが、ブログ内の情報は書いた当人の表の顔を伺わせるに十分だった。もっとも、「週刊文春」によれば、客に自分が幹部自衛官だと明かしていたようなので、それ以前の問題なのだが……。