北朝鮮ミサイル警戒中にも営業ツイート
この1佐がイージス護衛艦『こんごう』艦長を務めていたのは2012年7月17日から2013年12月2日だが、この間に重要な任務に就いている。2013年4月から6月にかけて、北朝鮮のミサイル発射に対する破壊措置命令のため、『こんごう』は日本海で警戒にあたっていたが、その最中の5月9日に「4月から海外出張が続いており、まだ帰国予定がたっていません。予定が決まったらお知らせいたします。」とツイートしているのだ。
緊迫化でも風俗営業を忘れないのは大した度胸だが、少々引っかかる部分があった。
護衛艦に個人のスマートフォン用のWi-Fiスポットが設置されるようになったのは2018年からで、それ以前に護衛艦からインターネットにアクセスするには、共用のパソコンから衛星通信を介していた。携帯の電波が届かない海上である以上、それを利用したと思われるが、だとすれば官品のパソコンと通信環境で副業の営業活動をしていたことになる。
また、どうやってツイッターにアクセスしたかも問題だ。艦内からインターネットにアクセスできるといっても、通信量の大きくなる動画サイトや、SNSに対しては制限がかけられている。たまたま陸に上がっていたか、他の人間にツイートさせたのなら話は別だが、このあたりは自衛隊活動の根幹にもかかわる。調査の必要があるのではないか。
戦没者遺骨を運びながら……
また、練習艦『かしま』艦長時代の2014年4月28日には、店のブログに「5/10-20の間、東京、横浜に出張します。海外出張前の私の国内でのサービスも残り1ヶ月を切りました。次にサービスを再開するのは秋になると思います。」と書き込んでいる。
『かしま』は5月22日から10月24日にかけて、156日に及ぶ遠洋練習航海に出ている。普段は広島県呉市を母港とする『かしま』だが、練習艦隊は東京の晴海から出航するので、その準備で東京に出た際に営業を行っていたのだろう。5月21日には「日本を離れて、はや一日。」と書き込んでいるが、出航は22日なので恐らく偽装のつもりと思われる(大枠の期間が一致しているので、数日程度の偽装はあまり意味がないと思うが……)。
この練習艦隊では、厚労省の遺骨収集帰還事業で収集されたソロモン諸島での戦没者遺骨を、練習艦隊が日本へ送還する初めての試みが行われている。この大任を担ったのが『かしま』だった。ソロモン諸島の首都ホニアラに寄港した練習艦隊は、戦没者の遺骨137柱を『かしま』に収容した。10月24日の帰国時には晴海で遺族も出席した引き渡し式典が行われ、厚労省に遺骨を引き渡している。
この遺骨を輸送中の10月5日、艦長は「もうすぐ帰国します。28日(火)から国内でのサービスを再開します。」と、帰国の4日後からの予約を受け付ける旨のツイートを行っている。歴史的な任務と荘厳な式典とは対照的である。