昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2017/07/21

なんだよ新庄、やっぱり根は野球人じゃないか

 当たり前のことかもしれないけど、どうやら新庄は今でも野球が好きみたいだ。それを再確認できた気がして、私は妙に安心した。なんだよ新庄、いつのまにか下世話なタレントになったって思っていたけど、やっぱり根は野球人じゃないか――。

 結局のところ、新庄に対する幻滅とは、彼の大ファンだったからこその愛情の裏返しなのだろう。新庄と阪神の薄れゆく関係性が、寂しくてたまらなかったのだ。

ワクワクする選手だった新庄剛志 ©文藝春秋

 かくして、私の中に懐かしい感情がよみがえってきた。

 時は90年代、茶色い髪をなびかせながら甲子園を駆け回る赤いリストバンドの男。確実性はないけれど、わけのわからない勝負強さと天性のパンチ力で、しばしば印象に残るホームランを放った白い歯の男。へんてこりんな打撃フォーム、超人的な守備範囲、MLBでも注目された“狂”肩……。とにかく虎のプリンスと呼ばれていたころの新庄には独特の華があった。暗黒時代の阪神は笑っちゃうくらい弱かったけど、私はダメ虎の真ん中で異彩を放つ新庄が本当に好きだった。彼の圧倒的なスケール感と得体の知れない魅力にいつもワクワクしていた。そう、ワクワクである。新庄はワクワクする選手だった。

ロジャースや西岡もいいけれど、やっぱり若虎にワクワクしたい

 だからこそ、同時にこうも思った。

 今の阪神には、新庄みたいなワクワクが足りないのだ。

 糸井嘉男をFAで獲得し、その糸井が故障離脱した今はロジャースや西岡剛といった若手以外の新しい風に在阪マスコミが食いついている。チームが勝利を目指す以上、それは無理からぬことかもしれない。西岡は起爆剤だと言われたら、まあ確かにそうだろう。

 しかし、個人的にはそこにワクワクしないのだ。やっぱり高山俊と大山悠輔のドラ1コンビ、原口文仁や中谷将大といった大砲候補など、昨季のスローガン『超変革』の路線が目立ってこそ、かつての新庄を見るような胸の高鳴りを覚えるのだろう。

 今季からスローガンが『挑む』に変わったが、これが昨季の『超変革』ほど目立っていないところを見ると、わざわざ変える必要があったのかとも思ってしまう。もちろんロジャースや西岡も応援しているけど、心の真ん中では若虎にワクワクしたいのだ。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/3439でHITボタンを押してください。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
z