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無職の自分を責めてはいけない

カネなし、カレなし、コネもなし。30オンナの脱力系転職活動記

2017/07/27

自分に課した2つのこと

 とまあ、無職になり、何の制約もない日々。いくらでも自堕落に過ごすことはできます。ですが、さすがの私もそれではまずいと思ったのと、せっかく時間ができたので何か新しいことを始めようと、2つの課題を自分に課しました。

 1つは、毎日一つ文章を書くこと。

 5年間、毎日毎日飽きもせず文章を書き続け、なんとか文章力を身につけました。せっかく身に着けた数少ないスキル。このまま錆びつかせては本当にただの無職になってしまいます。せめて文章力のある無職でいたい。

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 そんな思いで、毎日毎日、短くても何か文章を書き、新聞や雑誌にせっせと投稿しました。掲載されれば図書券などがもらえるので、無職には一石二鳥の習慣です。

 もう1つは、山に登ること。

©iStock.com

 5年間、とにかく仕事しかしてこなかったので、加齢もありすっかり体力がなくなっていました。体力と健康を取り戻したい。そこで、近所のちょっとした山に、天気がよければ登っていました。

 子どもの頃の記憶だと、1時間で登れたはずなのに、始めた当初は1時間じゃとてもじゃないが登れません。なんとか頑張って1時間半。大した高さもないのに、何度も何度も休憩をはさまないとヘトヘトです。

 けれど、毎日毎日登っていると、徐々に休憩回数が減り、ついには休憩なしで山頂まで到達できるように。

 それに、山には「あいさつをする」というルールがあります。すれ違った、全然知らない人たちとあいさつを交わす。これも、他人と言葉を交わす機会がない無職にはいい刺激になりました。

 そんなこんなで、無職生活の滑り出しはすこぶる快調で、楽しい無職生活を謳歌していました。

キヨシマの無職生活メモ
一、 何の制約もない無職生活だが、習慣を作ったほうが充実した日々を送れる。

 無職1か月半後から始まった語学留学中も、すこぶる順調でした。

 毎朝5時に起き、午後9時に寝る生活。午前8時から午後5時までみっちり英語の勉強です。苦手な英語も日々の生活で否応なしに使うので、少しずつですが着実にレベルアップ。

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 休みの日にはリゾートアイランドで羽を伸ばすなど、活発に動き回りました。

 自他ともにグータラと認める私。そんな私がまさか何の制約もない無職となり、こんなに規則正しい生活を半年も続けられるとは思いませんでした。

 もしかして、私、真人間になれた……!?

 やっぱり、仕事辞めてよかった!

 この調子なら、帰国後も何でもできる気がする。転職活動もサクッと終わらせてやる!

 そんなことを考えながらルンルンと帰国しました。

 ですが、やはりグータラは半年規則正しく生活したぐらいで矯正できるものではないんですねえ。

「張り切りすぎ」がアダに

 2016年9月。すっかり健康体になって帰国したはずなのに、それまでの慣れない真人間生活の反動か、一気に疲れが私を襲います。

 毎朝5時に起きていたのがウソのように、朝起きられない。

 29年きっちり(?)グータラ生きてきたので、ちょっとでもグータラすると途端に堕落の道を邁進。

「解放感からちょっと張り切って頑張りすぎたわ~」と自分を甘やかし、日がな一日ゴロゴロしては飼い猫にちょっかいかけて引っかかれたり噛まれたり。1日1本文章を書くことも、山登りもやめてしまったので、帰国後一瞬にしてただの無職になってしまいました。

キヨシマの無職生活メモ
一、 せっかくの無職だと思って張り切りすぎると、反動が来る。何事もほどほどに。